(款)アルコール専売事業費 (項)事業費
東京、福岡両通商産業局で、昭和26年5月から年度末までの間に、内外輸送株式会社に輸送させたアルコール原料用輸入糖みつ16,807屯681の料金として32,224,593円を支出したものがある。
右運送賃は、通商産業省通商化学局において、内外輸送株式会社との間に26年5月及び11月契約した新興及び門司駅から千葉外4アルコール工場までの輸入糖みつ運送の料金屯当り単価5月以降の分1,764円、11月以降の分2,044円により前記輸送数量に対して支払つたものである。この運送賃の単価算定の内訳についてみるに、前記両駅から千葉外4アルコール工場までの所要経費である貨物運賃外12費目を区間別に計算し、これに各別の年度内輸送見込数量による加重平均単価に一般管理費及び運輸間接費を加えて前記単価を算出し、これをプール運送賃単価として決定したものであるが、その内訳費目についてみるに、次のとおり検討不十分なため妥当でないものがある。
(1) 発着駅取扱料は屯当り50円から55円までとなつているが、これは一般の場合においては日本通運株式会社に支払う発着駅取扱料であつて、本件の場合においては、内外輸送株式会社は所管陸運局長の条件付免許を受け、前記取扱各駅において糖みつの発着駅扱を自営していて、その所要経費は別に一般管理費及び運輸間接費に包含されており、又、日本通運株式会社に支払つているものはないのであるから、これを別に計上する必要はない。
(2) 空車回送料屯当り8円932(11月分以降7円146)は、車両自重の2分の1の貨物料金を推定して算出したものであるが、内外輸送株式会社が日本国有鉄道に支払うべき回送料は、貨物料金表(昭和23年物価庁、運輸省告示第9号)によれば、右料金に対して3割減をした7円525(11月分以降6円02)であるから、その差1円407(11月分以降1円126)は減額することができたものである。
(3) 車両償却費屯当り571円472(11月分以降605円661)の算出基礎のうち、タキ号改造炭水車及びミ号石炭改造車の車両償却費については、複利年金法(金利1割)により耐用年数を5年として計算しているが、この耐用年数は短期間に過ぎ、同会社はタキ号改造炭水車は8年、ミ号石炭改造車は15年の定率法によつているが、少くともこの程度が妥当と認められる。これにより算出すれば車両償却費は屯当り328円354(11月分以降362円748)となるから、その差243円118(11月分以降242円913)は減額することができたと認められるものである。
いま仮に、前記のとおり減額することができたと認められるものを控除して計算すれば、本件運送賃単価はそれぞれ1,468円(5月以降)、1,749円(11月以降)で足りたこととなり、前記支払額は約496万円を節減することができた計算となる。