郵政事業特別会計
本会計は、独立採算制を立前としているが、毎年度収支の採算がとれず、欠損金は年年累増の一途をたどつている状況である。昭和26年度の欠損金は22億5千8百余万円で、前年度の欠損金2億7千2百余万円に比べ19億8千6百余万円の欠損増加をきたしているが、これは、事業収入において26年11月の郵便料金値上、郵便利用度の増加、郵便貯金、簡易生命保険、電気通信各事業の業務受託収入の増額等のため前年度に比べ115億9千7百余万円の増加を示したが、一方事業支出において給与ベースの改訂による人件費の増加、行政整理に基く退官退職手当の増加、物価騰貴等のため前年度に比べ135億8千4百余万円の増加をきたしたことに因るものである。
本会計の26年度決算は、前記のとおり2,258,959,680円の欠損となつているが、本院会計検査の結果、その修正を要すると認められたものが左のとおりあり、これにより修正計算したとすれば26年度の欠損金は2,977,840,506円となる。
決算箇所 | 過誤の内容 | 金額 |
東京、大阪、熊本各郵政局 |
固定資産の計上をもらしたもの |
円 22,007,867 |
名古屋、札幌両郵政局 | 固定資産を過大に計上したもの | △1,447,289 |
経理局及び東京、大阪、松山、熊本各郵政局 | 貯蔵品の計上をもらしたもの | 45,371,280 |
貯金局、経理局及び各郵政局 | 未収金の計上をもらしたもの | 87,440,786 |
貯金局、簡易保険局、経理局及び各郵政局 | 未払金の計上をもらしたもの | △875,494,757 |
貯金局 | 収入金を保管金として計理したもの | 3,241,286 |
差引 | △718,880,825 |
なお、24、25両年度の「お年玉つき郵便はがき」の賞品残額1千1百余万円のものを25、26両年度において事業品のまま使用し又はそのまま保有しているが、これらの物品は、6箇月の時効で当せん者の賞品受領権消滅によつて本会計の利益となるべきものであつて、正規の計理処置を要するものであるから、貯蔵品に組み替えるなど利益受入処置をすることが適当と認められる。