日本国有鉄道資材局で、昭和26年3月23日から31日までの間に、和信産業株式会社外32名に古軌条及び同附属品5,851屯065を98,883,000円で売り渡したものがある。
右売渡価額は、契約当時の古軌条等の鉄くずの統制額屯当り16,900円を基準として算定したものであるが、本件引渡は、鉄くずの価格統制が停止され、統制額に比べ市場価格が著しく高価となつた4月から12月までの間に行われたものであつて、鉄くずの価格統制が4月1日ごろから停止若しくは廃止されるか又は統制額が大幅に引き上げられること及び実際の当時の取引価格からみて価格統制が停止又は廃止されれば、市場価格は停止前の統制額より相当上回ることは契約当時既に予想されたものと認められるから、価格統制の停止又は廃止後の引渡分については、価格改訂に関する条件を付して契約すべきであるのに、これらの点を考慮することなく、単に統制額の改訂があつた場合だけの価格の変更を定めたに過ぎず、4月以降において低価な旧統制額で引き渡したのは処置当を得ない。
いま仮に、これを1級古鋼材として26年4月の市場価格屯当り21,000円で売り渡したとしても、約2400万円高価に売り渡すことができたものである。