(組織)最高裁判所 (項)裁判所施設費 ほか1科目
最高裁判所ほか3箇所で、昭和24年度から26年度までの間に、大阪家庭裁判所ほか7箇所の庁舎新営にあたり、大規模な鉄骨鉄筋または鉄筋コンクリート造りをもって数年度にわたり継続施行の計画のもとに着工し、27年度までに1,119,879,399円を支出しているが、着工後主体工事の一部を中止することとしたなどのため使用予算に比べ利用価値が低く不経済な結果となっている。
右8箇所の工事のうち、福岡高等裁判所宮崎支部および大阪、仙台両家庭裁判所の庁舎(別表の(1)参照) は、全計画を施行する目的をもって着工したが、いずれもさしあたり地上2階で工事を中止するものであり、また,甲府地方裁判所,福岡地方裁判所小倉支部および静岡家庭裁判所の庁舎(別表の(2)参照) は、計画の一区画の部分について着工したが、甲府地方判所および静岡家庭裁判所の分はほぼしゅん功した程度で、また、福岡地方裁判所小倉支部の分は地階とも五階を地階とも四階までとし建388坪の一区画の部分をしゅん功してさしあたり中止することとしたものであり、大阪地方裁判所堺支部および福井地方裁判所の庁舎(別表の(3)参照) は、主体工事を計画どおり完成したが、なお仕上工事等を施行している状況である。
これらの建築については、使用予算に対応して利用効率をより有効早期にあげることができるよう処置すべきであるのに、全計画を施行する目的をもって着工した工事を中止するものにあっては、基礎工事等においてさしあたり必要限度以上の工事を施行した結果となり、計画の一区画の部分について着工し計画の全工事を実施しないものにあっては、裁判所の庁舎として完備されないため使用予算に比べ利用価値が低くなっているものなどがあり、また、その規模においても法廷のような特殊の施設もあるが、階高および廊下等一般官庁に比べ大規模であって、未完成の福井地方裁判所の分をみてもその工事費は4億6千余万円に上っている状況である。
また、24年度から26年度までの間に、宇都宮家庭裁判所ほか31箇所の庁舎敷地として土地44,021坪を所在建物とともに購入したものがあり、その購入については一般的に困難な事情を伴うものとは認められるが、建物は、庁舎用としては不適当な邸宅で、現に、ほとんど使用されていないものであり、土地は、地形上庁舎敷地として利用度の少ないもの、所要敷地全部を入手することができる見込が確実でない土地の一部を購入したもの、購入後他に敷地を変更する見込のものあるいは相当期間を経過しなお予算を伴う具体的建設計画が確定しないものなどいずれも未使用になっているものであり、これらの土地の購入後に別途購入した土地に庁舎が建築されているものがあるなど予算の使用が効率的に行われていない状況である。
なお、26年度から28年度にわたって、研修所施設として取得した東京都文京区および台東区所在の土地1万4千余坪、建物2千余坪は元個人所有の邸宅で、建物は住宅向に造られたものであり、現存建物の位置の関係上敷地の利用度を著しく減じているもので、新営建物については延1,600坪の宿舎が計画されているにすぎない状況である。
(別表)
支出庁 | 工事 | 着手年度 | 計画 | 27年度までの進ちょく状況 | 27年度までの支出額 | |
(1) | 最高裁判所 | 福岡高等裁判所宮崎支部庁舎新営 | 26 | 鉄筋コンクリート造り地階とも4階、延1,416坪 | 計画を地階とも3階まで延1,052坪とし,うち地下1階までのコンクリート打などを施行 | 円 46,517,000 |
大阪家庭裁判所庁舎新営 | 24 | 鉄骨鉄筋コンクリート造り地下2階、地上6階、延4,159坪 | 計画のうち地上3階床上までの鉄骨建方および地上1階床までのコンクリート打などを施行 | 186,906,000 | ||
仙台家庭裁判所庁舎新営 | 26 | 鉄筋コンクリート造り地下1階、一部2階地上3階、延1806坪 | 計画を地下1階一部2階地上2階まで延1,106坪とし,うち1階床はり下までのコンクリート打などを施行 | 32,885,550 | ||
(2) | 最高裁判所および甲府地方裁判所 | 甲府地方裁判所庁舍新営 | 24 | 鉄筋コンクリート造り地上6階屋階付、延3,331坪 | 計画のうち延1,370坪(建227坪)の1区画を施行することとし,その工事がほぼしゅん功 | 141,277,000 |
最高裁判所 | 福岡地方裁判所小倉支部庁舎新営 | 25 | 鉄筋コンクリート造り地階とも5階,延3,608坪 | 計画を地階とも4階までとしてうち延1,277坪(建388坪)の1区画を施行することとし、うち2階床上上端までのコンクリート打などを施行 | 37,972,000 | |
静岡家庭裁判所庁舎新営 | 24 | 鉄筋コンクリート造り地階とも6階、延3,907坪 | 計画のうち延1,488坪(建249坪)の1区画を施行することとし、その工事がほぼしゅん功 | 139,832,790 | ||
(3) | 最高裁判所および大阪高等裁判所 | 大阪地方裁判所堺支部庁舎新営 | 〃 | 鉄筋コンクリート造り地階とも4階、延1,226坪 | 鉄筋コンクリート主体全部および一部仕上工事等を施行 | 68,312,040 |
最高裁判所および福井地方裁判所 | 福井地方裁判所庁舎新営 | 〃 | 鉄筋コンクリート造り半地下とも4階塔屋付、延3,994坪 | 仕上工事等一部を除きほぼしゅん功 | 466,177,019 |