国有財産を、一定の産業を保護奨励しようとする場合または学校教育施設その他公共の用途に使用させるため競争契約によらないで随意契約によって特定の者に売り渡すときは、その用途ならびに用途に供すべき期日および期間を指定しなければならないこととなっているが、このようにして売り渡したものについてその後の状況を検査すると、売渡にあたり相手方の資産、信用および事業計画の確否等についての調査が十分でなく、また、その後の監査をも怠ったため買受人により転売されるなど指定用途に違反しているものがあるが、このような場合は、契約を解除することがある旨の契約条項にかんがみて適当の処置をすべきものと認め注意したが、昭和28年9月末現在一部について契約を解除したほかはまだその処置が執られていない。
庁名 | 区分 | 数量 | 所在地 (口座名) |
売渡先 | 売渡年月 転売(転貸)年月 |
売渡価額 転売価額 |
転売 (転貸)先 |
指定用途 | |
(79 ) | 関東財務局 | 土地 | 97 | 東京都 (元公共物揚場) |
石野某 | 年 月 25. 3 〃. 4 |
円 2,201,850 3,150,000 |
株式会社大同洋紙店 |
母子寮、託児所、医療施設等として10年間使用 |
(80 ) | 同 | 土地 建物 工作物 立木 |
972 463 1 60 |
東京都 (元内閣統計局) |
東京中央青果株式会社 | 26. 3 27. 7 |
4,792,037 9.500.000 |
千代田経済株式会社 | 農産物の加工工場、倉庫および同敷地として10年間使用 |
(81 ) | 同 | 土地 | 1,146 | 東京都 (元航空科学研究所) |
中央鋼材工業株式会社 | 26. 8 〃.10 |
1,139,083 3,625,000 |
ダイヤ物産株式会社 | 船舶、車両等機械部品の製造工場および倉庫敷地として10年間使用 |
(82 ) | 関東財務局横浜財務部 | 土地 建物 工作物 |
2,863 1,452 1 |
神奈川県逗子町 元横須賀海軍工厰久木工員宿舎 |
学校法人聖和学院 | 26. 6 27. 4 (貸付け) |
3,050,000 (権利金)254,250 (月額)54,300 |
藤川某ほか34名 | 学校教育施設として10年間使用 |
旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律(昭和23年法律第74号)(以下法という。)第2条を適用して時価評定額から4割を減額して売り渡したものであるが、そのうち建物約560坪(売渡価額相当額約100万円)を住宅用途に貸し付けているので本院で注意したところ、28年9月使用目的違背の部分について契約を解除した。 | |||||||||
(83 ) | 近畿財務局 | 建物 (鉄骨) |
138 | 大阪市 元大阪陸軍造兵厰 |
増田機械工業株式会社 | 26. 5 〃.11 |
1,039,515 約1,200,000 |
小泉鋼業所 | 造船部品製造工場の復旧資材用として10年間使用 |
(84 ) | 東海〃 | 土地 建物 工作物 立木 |
16,204 1,148 1 720 |
浜松市 元陸軍第二四練成飛行隊 |
財団法人明朗会 | 26. 1 28. 4 |
5,457,857 4,850,000 大部分の 転売額 |
葵紡織株式会社 | 食糧増産および粉食技術の研究普及用として10年間使用 |
(85 ) | 四国〃 | 土地 | 5,262 | 丸亀市 元四国第一四九部隊 |
丸亀市 | 24.3 25.9から 26.11まで |
1,111,631 1,760,323 |
中学校敷地として10年間使用 | |
転売等の内訳 | 938 | 25. 9 26. 11 |
798,822 | 高松刑務所丸亀拘置所ほか1名 | |||||
1,923 | 26. 5 (交換) |
961,500 | 高松地方裁判所丸亀分室 | ||||||
568 | 27.11 (貸付け) |
(月額) 3,408 |
四国電力株式会社 | ||||||
1,833 | 未利用 | − | |||||||
法第2条を適用して時価評定額から2割を減額して売り渡したものであるが、転売、交換、貸付けの条件違反があるほか残余の土地1,833坪は未利用となっており、商店および住宅敷地として転売予定のものである。 |
備考 |
(ア) 数量欄の単位は土地は坪、建物は延坪、工作物は個、立木は本とする。 |
(イ) 転売価格は当局者の調査報告額または本院で直接買受人について調査したものによる。 |