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  • 昭和27年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第9 農林省|
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  • (食糧管理特別会計)|
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ビルマ米の購入および売渡にあたり処置当を得ないもの


(1497) ビルマ米の購入および売渡にあたり処置当を得ないもの

 (項)食糧買入費

 食糧庁で、昭和27年7月から12月までの間に、第一物産株式会社ほか2会社からビルマ米82,708トンを6,118,590,127円で購入しているが、購入処置が適切でなかったため黄変粒が混入し、その一部を原材料用として低廉に売り渡した結果約6億3200万円の損失をきたし、また、26年度に購入したビルマ米9,387トンについても黄変粒混入のため約1億9800万円の損失をきたしている。

(1) 27年度購入のビルマ米は、輸入港本船船側渡価格トン当り60,290円から91,252円で購入したもので、そのうち有毒な黄変粒の含まれていたものが57,049トンに達し、うち13,167トン(価額974,073,061円)は黄変粒の含有率が多いため総合配給用に充てられず原材料用として売り渡すこととし、28年11月末までに13,160トンを購入価額から632,094,886円値引して売り渡したものである。しかして、このように黄変粒の多く含まれたものが輸入されたことは、ビルマ国の輸出米検査規格には黄変粒の含有についてなんら規定されていないこともその原因であると認められるが、輸入にあたって当局者の注意に欠けるところがあったことにも因るものと認められる。

すなわち、26年8月から27年3月までの間に輸入されたビルマ米45,284トンのうちに黄変粒混入のものが9,387トン(購入価額490,664,570円)あり、これは結局食糧に供せられず、原材料用として購入価額から198,294,015円値引のうえ売り渡したものであり、また、27年3月、農林省食糧研究所から26年度輸入のビルマ米に混入していた黄変粒は有毒で配給米として適しない旨食糧庁に報告された状況であるから、27年度輸入にあたっては当然予想される黄変粒含有米の混入防止について購入の協定または現品引取について適宜の処置を講じ損失を予防すべきであったのに、早期に適切な処置を執らなかったばかりでなく、前記各会社に対してもあらかじめ委託買付業務取扱者としての注意内容について具体的指示を与えるべきであったのに、なんら特別の指示も与えずそのまま輸入を継続させたのは当を得ないと認められる。

(2) しかして、26年度輸入の黄変米は、アルコール原料用として、27年4月および8月、随意契約により日本糧殻株式会社に通商産業省アルコール専売事業特別会計および神谷酒造株式会社ほか10会社に売り渡させる目的でトン当り30,597円または29,700円で5,649トン(シヤム米2トンを含む。)を、また、同年5月指名競争契約により東洋醸造株式会社ほか2会社に対しトン当り平均32,315円で3,740トンをそれぞれ売り渡しているが、随意契約によった分は指名競争契約によった分に比べ低価となっていて、特に日本糧穀株式会社を通じ売り渡すことなく直接需要者に売り渡し、黄変米に開する損害をなるべく少なくするよう努力すべきであったものと認められる。

 なお、指名競争契約により東洋醸造株式会社に対し売り渡した3,001トンのうち512トン16,453,946円は和歌山県食糧事業協同組合連合会に21,588,000円で転売され、結局消費者へ配給外に転売されている状況である。