(項)食糧買入費 ほか1科目
食糧庁で、昭和27年10月から28年6月までの間に、日綿実業株式会社ほか7会社から3,966,340,375円で購入したカナダマニトバ小麦等106,219トンをパキスタン国政府にカラチ港で引き渡し、交換にパキスタン米53,108トンを同港で受け取り、これを東洋棉花株式会社ほか2会社に運賃258,323,116円で東京ほか3港に運送させ、麻袋代を合わせ計4,278,562,239円(うち28年度分524,051,587円)を支出しているが、受領した米穀の品質が不良であり著しく不経済な結果をきたしている。
右は、パキスタン国政府がドル不足に因り小麦の輸入困難なため日本国政府に提案した結果、27年10月締結された「小麦と米穀の相互取引契約」により日本国政府は小麦100,000トンをカラチまたはチッタゴン港でパキスタン国政府に引き渡し、その半量に相当する50,000トンのパキスタン米をカラチ港で受け取ることとしたものであるが、受け取ったパキスタン米53,108トンのうちカングニイ(4等品)17,542トンは、とう精度も悪く、そのうえ砕米および被害粒等が発地検定人の検査証によっても前記相互取別契約に定めた混入限度を超過し、着地における検査の結果によれば平均50%の多量に達し、また、バスマティ(1等品)3,671トンについてももみの混入が多いのにそのまま受け入れている。他方、これに対し引渡に充てたカナダマニトバ小麦の購入代金、運賃等3,966,340,375円、パキスタン米の運賃258,323,116円および麻袋代53,898,748円計4,278,562,239円を支出した結果、取得した本件米穀の価額は輸入港本船船側渡価格トン当り80,563円となり、当局者が当初予想した78,138円(トン当り発地200ドルに運賃、麻袋代を加算)を上回っているばかりでなく、前記のように品質不良なものを受け取り適切な処置が執られていないが、28年10月末現在において、16,830はそのままでは主食用として配給することができず、再選または再とう精を要することとして正常外米の政府売渡価格トン当り52,430円ないし53,150円から1,400円ないし2,610円計30,056,902円を値引して売り渡し、12,376トンは在庫となっている状況で、本件米麦交換はたとえ主要食糧取得上必要があったとしても、品質粗悪なものを著しく割高に取得した結果となっていてその処置当を得たものとは認められない。