(項)管理費
食糧庁で、昭和27年産米の特別集荷制度による集荷および超過供出を促進するため、28年3月から10月までの間に、集荷業者の特別集荷米および超過供出米の集荷事業に対する集荷累進奨励金として全国販売農業協同組合連合会(以下全販連という。)に対し395,591,715円、その他の集荷団体に対し33,278,290円計428,870,005円(うち28年度分148,512,615円)を支出しているが、その交付が適切でなかったため中間の全販連等に多額の奨励金を保有させる結果となっている。
本件集荷累進奨励金は、多量の超過供出等を促進するため、当初単位集荷業者(主として農業協同組合)約15,000を予定し、それぞれの集荷数量に応じ累進して交付することとしていたが、その後農業協同組合(以下農協という。)系統分については、単位農協が集荷した数量を各都道府県の同連合会(以下県連合会という。)を経て全販連が取りまとめた数量に対し一括して、また、農協系統以外の分については、各集荷業者が集荷した数量を県ごとにその所属の集荷団体で取りまとめた数量に対してそれぞれ左の奨励金累進額表により算出した金額を全販連その他の団体に交付したもので、結局、農協系統分を取りまとめた全販連には全国の集荷数量1143万余俵に対し1俵当り平均34円60、また、農協系統以外の分については177万余俵に対し1俵当り平均18円74を交付したこととなっている。
奨励金累進額表 |
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300俵まで | 1俵につき | 0円 | ||
301俵以上 | 〃 | 15円 | ||
10,001俵以上 | 〃 | 20円 | ||
100,001俵以上 | 〃 | 25円 | ||
300,001俵以上 | 〃 | 30円 | ||
500,001俵以上 | 〃 | 35円 |
しかし、集荷累進奨励金は、米穀の特別集荷および超過供出の促進に最も尽力したと認められる単位集荷業者すなわち農協等に対しその集荷した数量に応じて交付するのが最も適切な処置と認められるのに、1俵当りの配分の結果をみると、農協系統分については、食糧庁から全販連への交付額34円60、全販連から各県連合会への交付額30円79、各県連合会から県内各農協への交付額17円40となっていて、本件奨励金の交付は適切であったとは認められない。すなわち、これを全販連についてみると、食糧庁から交付を受けた奨励金395,591,715円を各県連合会に対し全額配分することなく、各県連合会ごとに集計した集荷数量に応じ前記累進額表による奨励金に1俵当り5円を加算して計336,181,765円および集荷助成費15,870,000円合計352,051,765円(1俵平均30円79)を支払っただけで43,539,950円を保有し、自らの集荷促進活動に要する経費と称して6,975,059円、外部団体助成費として10,200,000円を支払い、26,364,891円の残余を生じており、また、各県連合会の集荷累進奨励金の処理について調査したところ、各県連合会が全販連から交付を受けた額336,181,765円のうち県内各農協に配分した額は197,750,964円で、その間に著しく差異があり、各県連合会では全販連から交付を受けた額の41%に当る138,430,801円の残余を生じている状況である。
なお、右集荷累進奨励金のほかに集荷促進奨励金として全販連に59,000,000円、全国主食集荷協同組合連合会に2,460,000円、全国食糧事業協同組合連合会に1,510,000円計62,970,000円を交付しているが、全販連についてみると、28年10月当時全くこれを使用しないまま保有している状況である。