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  • 昭和27年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第9 農林省|
  • 不当事項|
  • (食糧管理特別会計)|
  • 役務

食糧の輸送にあたり不経済な運送をしたもの


(1504)−(1506) 食糧の輸送にあたり不経済な運送をしたもの

 (項)管理費

 食糧庁で、日本通運株式会社ほか4会社に輸入小麦等の食料を運送させるにあたり、運送時における発地食糧事務所の在庫量および需給状況を十分考慮しないで運送を実施した結果、他の事務所から再度運送を必要とした事態を生じたなどのため不経済な結果をきたしたものが次のとおり3件あり、節減することができたと認められる運送賃その他計6,330,602円となっている。

(1504)  食糧庁で、神奈川食糧事務所保管の米国小麦1,000トンを昭和27年12月から28年1月までの間に千葉食糧事務所へ運送し、その運送賃として1,422,726円を支出しているが、他方、神奈川食糧事務所では供給に不足をきたし、同時期に静岡食糧事務所から米国小麦1,500トン(この運送賃1,947,617円)を受け入れている。しかし、右千葉食糧事務所への運送は27年10月30日の命令により12月から実施したものであるが、実施した当時は米国小麦の輸入量削減等により神奈川食糧事務所の需給見込において供給の不足することが判明していたものであり、また、前記運送命令を変更することも可能であったのに、10月の命令のまま実施して不足をきたし、これを補うため静岡食糧事務所から前記運送を行うに至ったのは妥当の処置ではなく、千葉食糧事務所の所要量1,000トンは静岡食糧事務所から運送すべきものであったと認められる。

 しかして、静岡食糧事務所から神奈川食糧事務所に運送しても千葉食糧事務所に運送しても、その県間運送賃は同額の扱いであるから、もし静岡食糧事務所から運送したとすれば、前記運送賃1,422,726円の全額を節減することができたものである。

1505 ) 食糧庁で、愛知食糧事務所保管の濠洲小麦(白わら扱い)300トンを富山食糧事務所へ、また、濠洲小麦(白わら扱い)301トンおよび米国白わら小麦501トンを石川食糧事務所へ昭和27年12月から28年1月までの間に運送し、その運送賃として1,540,277円を支出しているが、他方、愛知食糧事務所では、28年1月から3月までの間の需給見込において供給が不足するものとして前記運送と同時期に静岡食糧事務所から米国白わら小麦4,999トンを受け入れている状況であるから、愛知食糧事務所から富山、石川両食糧事務所へ運送したのは妥当の処置ではなく、静岡食糧事務所保管の小麦を富山、石川両食糧事務所へ運送すべきものであったと認められ、もし静岡食糧事務所から運送したとすれば、前記運送賃1,540,277円の全額を節減することができたものである。

1506 ) 食糧庁で、兵庫食糧事務所における輸入小麦粉手持量のうち1,299トンを昭和27年4月から5月までの間に大阪食糧事務所へ運送し、その運送賃として1,802,154円を支出しているが、当時大阪食糧事務所においては10,802トンの手持ちがあり、これは従来の委託加工制度に代えて原料売渡制度が実施された4月以降においては、少なくとも2箇月から3箇月分の販売予定量に当るものと認められるから、確実な売行状況をみて運送しても支障はなかったと認められるのに、大部分神戸港頭倉庫に保管されていた本件小麦粉を取急ぎ高価な県間運送賃を支払って運送したのは当を得ない。

 しかして、本件小麦粉の大部分に当る1,049トンは、5月に至り、日清製粉株式会社ほか1会社に輸出用として売り渡すことに決定し、神戸港までの運賃諸掛相当額1,565,445円を差し引いて売り渡し、重ねて損失をきたした状況である。