通商産業省で、外国貿易使節団に使用させるため賃借したホテル・トウキョウ、ホテルヤシマ、芝パークホテル、ホテル洛陽およびホテル浪速に国費で支弁した施設等について、賃貸借契約が解除されたのに長期にわたり有益費の償還等の処理をしないままホテル経営者に使用させているものがある。
右のホテルに使用していた建造物は民有のもので、昭和22年8月、通商産業省(当時貿易庁)が経費総額233,271,694円を使用してその土地、建物、工作物等に対し水道、ガス、照明、暖房装置等の新設および模様替工事等を施行したものであるが、25年4月から右ホテルが民営に切り替えられることとなったので同年3月31日本件賃貸借契約を解除し、これを所有者に返還したものである。しかして、国が前記のように施設したものについては、当初の賃貸借契約において、契約の終了または解除の際当事者間で協議のうえこれを定めることとなっていたものであるから、賃貸借契約の解除とともにすみやかに施設費については善後処理をしなければならなかったのに、その処理が進ちょくしていないのは遺憾である。
すなわち、本件国費支弁で施設したもののうち、帳簿価額6,611,407円の施設等については、26年10月から28年8月までの間に各所管財務局に引継を了し、売渡または貸付けの処理をしたが、残余の226,660,287円については明らかに有益費と認められるものたとえば水道、ガス、照明、暖房、通信、作業装置等があり、すみやかにこれが評価を行い求償等の処置を講ずべきであるのに、民営切替時以来ホテル経営者の使用に任せたままとなっている。