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  • 昭和27年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第13 労働省|
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国庫補助金の経理当を得ないもの


(1608)−(1609) 国庫補助金の経理当を得ないもの

(組織)労働本省 (項)失業対策事業費補助

 労働省で、昭和27年度に交付した失業対策事業費補助金は79億7千5百余万円あり、この国庫補助金は、緊急失業対策法(昭和24年法律第89号)に基き労働大臣が定めた内容の事業で、事業費に対し労力費が一定の割合以上を占めるものに対し交付するものであるが、本院において右国庫補助金の一部について会計実地検査を実施した結果によると、事業費に対する労力費の割合が指定の率に達しないものおよび所定の目的に適合しない事業を行うものに対し国庫補助金を交付したものが次のとおりある。

(1608)  山形県ほか4府県(注1) で、山形市ほか12事業主体(注2) に対し国庫補助金計33,223,637円を交付しているが、各事業主体において本件事業を行うため要した事業費に対する労力費の割合は指定の率に達していない状況である。

(注1)  山形県、滋賀県、大阪府、兵庫県、鳥取県

(注2)  山形市、酒田市、大津市、滋賀県神崎郡八日市町、同県同郡能登川町、同県粟太郡草津町、大阪府泉北郡高石町、尼ヶ崎市、鳥取県、鳥取市、長浜市、鳥取県岩美郡津ノ井村、同県東伯郡西郷村

(1609)  北海道で、釧路市に対し失業対策事業費補助金の昭和27年度分として27年5月、7月、9月および28年2月に交付した1,256,300円は、同市において公共用地の整理を行うものとして交付したものであるが、同市が実際に施行した事業は公共の用に供する土地に対して実施したものとは認められない。

 右は、国が自作農創設特別措置法(昭和21年法律第43号)により牧野として旭興業株式会社から買収した釧路市松浦町所在15,117坪の土地を同市が学校敷地等として借り受け、これに25年以降失業対策事業として整地盛土を実施してきたものであるが、北海道農地委員会において牧野に該当しないとして買収計画承認の取消を決定し、26年6月釧路地区農地委員会に通達したもので、同市と同会社との間においては、既に同年4月、本件土地を国から正式に同会社に返還を受けた場合は同市はこれを整地のうえ同会社に無償で提供し、その代替として同会社はこのうち約4,000坪(27年度実施の分はこのうちに含まれていない。)だけを市立中学校校舎敷地として同市に寄付する旨の覚書を取りかわしていたものである。したがって、本件国庫補助金は、公共の用に供する意図のなくなった土地の整地費について交付されたものといわなければならない。現に、同会社は、本件土地のうち同市が整地済の4,235坪を27年7月学校敷地として同市に寄付し、その他の大部分は住宅地として個人に売渡の処分をしている状況である。

 なお、26年度分国庫補助金で、26年7月以降の工事費分に対し交付したものが1,313,750円ある。