ページトップ
  • 昭和27年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第14 建設省|
  • 不当事項|
  • (一般会計)|
  • 物件

機械の管理当を得ないもの


(1640)−(1645) 機械の管理当を得ないもの

 建設省において、河川、道路の改修、災害復旧等の工事を機械化施行するため購入したブルドーザー、ドラグライン、パワーショベル等重建設機械の購入、管理等の取扱が当を得ないと認められるものについては、昭和26年度決算検査報告に掲記したが、なお28年中も引続きその是正を期し、主として前年中に会計実地検査を実施しなかった工事事務所について検査を行ったところ、これら建設機械の管理に関し処置当を得ないものがあり、そのおもな事例をあげると次のとおりである。

(1640)  建設省で、昭和26年11月、浦賀船渠株式会社から5,050,000円で購入し、同月九州地方建設局へ保管転換したラダーエキスカベーター1台は、配付後性能不良なため実用に適しないものとして28年11月に至るまで約2箇年間全く使用されないで同局久留米機械整備事務所に放置されている。

 右機械は、同省において26年度中前記会社から一括購入した同種同型のもの9台のうちの1台で、他の地方建設局等に配付された8台はいずれもか働良好な状況であり、特に本件機械だけが性能不良であったものとは認められないのに、建設省は適確な指示、指導を行わず、また、同局も、他の同種の機械の使用状況について積極的に研究することもなく漫然と使用もしないで長期にわたり放置する結果をきたしたのは当を得ない。

(1641)  東北地方建設局で、昭和23年度に403,000円で購入した中古ドラグライン1台は、当初同局北上川上流工事事務所で使用する目的で245,710円をもって同局塩釜工作事務所へ輸送し、同工作事務所において25年5月から10月までの間に249,127円で組立、修理を実施したところ、当時既に前記工事事務所では使用の必要がなくなったため同局阿賀川工事事務所において使用することとし、さらに、仙台市において栗原工業株式会社の請負により1,530,000円でボイラーおよび原動機等の全般修理を実施し、26年6月から7月までの間に285,600円で阿賀川工事事務所へ運搬したものであるが、機関部の性能が不良なため全くか働することなく工事現場に放置し、結局28年4月不用品として処分することとしている。

(1642)  東北地方建設局で、昭和23年9月、550,000円で購入した中古スチームショベル1台は、当初同局北上川上流工事事務所で施行する一ノ関地区中里築堤工事に使用する目的で24年5月から25年12月までの間に104,717円で組立、修理等を実施したものであるが、前記築堤工事は25年8月既に完成していたのに、これを他に転用もしないでその後引続き工事現場に放置し、結局28年4月不用品として処分するに至っている。

(1643)  関東地方建設局で、昭和26年1月から27年3月までの間に6,499,479円で修理および改造を実施した鋤簾ポンプ式しゅんせつ船1台は、明治36年に購入し同局利根川下流工事事務所で保管していた老朽船で、最近10数年間全く使用されず、昭和25年11月これを同局に返納したものであるが、同局では、性能、型式および実用の適否等について慎重に検討することなく、また、具体的使用計画もないのに前記のように多額の費用をもって修理、改装を実施したもので、修理後も使用することなくけい留のまま放置され、結局用途廃止することとしている。

(1644)  九州地方建設局で、昭和25年3月、西日本重工業株式会社広島造船所から9,000,000円で購入したパワーショベル2台は、うち1台を同局川内工事事務所へ保管転換し、他の1台を具体的使用計画もないまま同局久留米機械整備事務所で保管していたものであるが、前記会社では従来この種機械製作の経験がなく、いずれも性能不良で故障が続出し、かつ、取替部品の購入がきわめて困難であったため、前記工事事務所へ保管転換した1台は全く使用することなく、27年5月197,174円で前記機械整備事務所へ輸送し、現在同機械整備事務所構内に解体したまま放置し、また、同所で保管中の1台も前後3回にわたり243,469円で調整、修理を実施しただけで放置し、結局不用品として処分することとしている。

(1645)  九州地方建設局で、昭和25年6月、四国機械工業株式会社から1,350,000円で購入した簡易ドラグライン1台は、購入後具体的使用計画もないまま同局久留米機械整備事務所で1年有半にわたって保管し、その間数回にわたり230,556円の修理、改良を実施したものであるが、27年1月同局菊池川工事事務所へ保管転換したところ、同工事事務所では137,720円で組立試運転を行ったが、性能が著しく不良で実用に適しないため全く使用することなく、11月輸送費17,520円で前記機械整備事務所に返還したもので、その後同所構内に解体したまま放置し、結局不用品として処分することとしている。