日本国有鉄道資材局で、昭和27年度中、印度炭の購入にあたり契約条件にないのに船賃騰貴の理由で購入単価を改訂したため、日本国有鉄道に約1200万円不利をきたしたものがある。
右は、同局が同年12月、東洋棉花株式会社から印度炭50,000トンをトン当り三井川崎納め5,870円、名古屋納め5,978円(28年1月隅田川納め6,033円を追加)で購入契約していたものを、28年1月、同会社から契約後における船賃騰貴を事由として契約単価引上げ方の申入れがあったのに対し、3月、17,000トンを増加契約すると同時に三井川崎納め6,126円、名古屋納め6,234円、隅田川納め6,289円に改訂して、これを当初の契約数量50,000トンにまで及ぼし、この分について当初契約単価により計算すると295,313,036円となるものを308,113,033円とし、12,799,997円増額したものである。
しかし、契約後の船賃の騰貴に因る特別費用を買主負担とするには、契約書条項中にその旨を特記してある場合に限るのがこの種取引においては民間でも通例であって、また、日本国有鉄道でも、26年度中、同会社と契約した印度炭購入契約書条項中には特記されていることからみても、本件のように特記されていない場合に、会社の請願を受け入れて、船賃騰貴分を買主負担としたのは当を得ない。