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  • 昭和27年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第3 日本電信電話公社(電気通信事業特別会計を含む。)|
  • 不当事項|
  • 工事

建築工事が遅延したため電話局開始工事が遅延したもの


(1807) 建築工事が遅延したため電話局開始工事が遅延したもの

(項)建設改良工事費

 日本電信電話公社建設部で、昭和28年2月、工事費総額173,454,258円で豊島分局開始工事(自動、電力)を施行し、10月開局したものがあるが、本件工事に関連する事務庁舎の建築工事が遅延したため、本件開局は著しく遅延し、早期開局により得べかりし相当額の収益を失う結果となっている。

 右工事は、13年に電話局舎として建設したまま機械設備がはいらないため、豊島電気通信管理所の事務庁舎として使用されていた鉄筋コンクリート建物に6,000端子の自動交換機器を新設するもので、27年度工事として同年4月決定の実施計画におり込まれ、28年3月末開局予定のものであった。しかるに、このためには豊島管理所の事務庁舎を別に設置する工事が先行しなければならないものであって、この豊島管理所新築工事(工事費16,547,360円、木造2階建延305坪)は当初26年6月認証されたものであるのに11箇月を経た27年5月着工、12月完成し、28年1月下旬ようやく建物明渡しの運びとなったため本件局内機械工事の着手は著しく遅延し、27年11月認証、28年2月着工の運びとなったものであるが、もし豊島管理所新築工事が計画よろしきを得て、26年6月認証後直ちに着工されていたとすれば、遅くとも26年度中には完成したものであり、かつ、局内工事用資材を購入する予算は26年度補正予算に計上されていたのであるから、26年度中に必要資材を調達することができ27年度初頭に着工することができて、予定どおり28年3月に開局することができたものと認められる。

 豊島管理所新築工事が26年6月認証になったものであるのに、前記のように着工が遅延したのは、工事担当部局である関東電気通信局建築部が当時業務ふくそうのため施設局舎を優先施行し、事務庁舎は第2次的なものと考えていたことと、本件工事用敷地(914坪)とこれに隣接する前記鉄筋コンクリート建物敷地との間に関東財務局所管の通路252坪があって、両敷地が二分されているので敷地の有効利用および将来の局舎計画のためにも右通路を買収のうえ本件工事を設計することを有利と考え、この解決を待って処理したためであるが、右鉄筋コンクリート建物は10,000端子を収容することができるから今後なお相当の余裕を存し、将来これ以上の端子増を必要とするとき、初めてこの道路敷地は局舎建設の設計等に影響することが想定されるもので、さしあたり本件工事および事務庁舎の建設には支障がないものであって、電気通信省施設局が豊島管理所新築工事認証の際、本件は施設局舎を本来の目的のために使用するため必要な事務庁舎の新築であることを関東電気通信局建築部に了知させたならば、同部は認証後直ちに本事務庁舎の優先施行を決意したであろうし、その実現にも支障がなかったものと認められる。

 いま、仮に4月以降実際に開局した10月までの間の得べかりし収益を計算すると、従来の大塚局および九段局の加入者3,908人を本局に収容替えし、新規加入者1,600人を収容するものとし、収容替跡のあき施設の充実および新規加入の限度に達する期間を6箇月として計算すれば、収入額は約3900万円となり、関東電気通信局管内の総収支率により推算すれば約1400万円の収益をあげたこととなる。

 なお、本件工事のための主要資材118,291,155円のものは、27年11月から28年1月までを納期として調達していながら、前記局舎に直送することができず、共同倉庫株式会社に保管させ、その保管料として約187万円を支払っているが、建築工事および局内機械工事が当初計画どおり進行したとすればその必要はなかったものである。