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  • 昭和27年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第3 日本電信電話公社(電気通信事業特別会計を含む。)|
  • 不当事項|
  • 物件

土地の交換にあたり評価等当を得ないもの


(1809) 土地の交換にあたり評価等当を得ないもの

 電気通信省電気通信研究所で、昭和27年6月、神奈川県高座郡座間町と土地、建物、立木等を交換しているが、交換渡物件を著しく低価に評価しているばかりでなく、その交換は正規の手続によっていない。

 右は、左記(ア)電気通信研究所所有物件と(イ)座間町所有土地とを交換したものであって、(交換差金8,209円は現金で受渡しされている。)

(ア) 電気通信研究所所有物件(神奈川県高座郡座間町所在)

土地

山林
600坪
51,460〃
59,886〃
111,946〃
坪当り単価


16円80
7〃278
12〃116
評価額


10,080円
374,526〃
725,578〃
1,110,184〃
立木 7,000石 3,335,000〃
家屋(工作物を含む。) 66.75坪 331,994〃
合計 4,777,178〃

(イ) 座間町所有土地(東京都武蔵野市関前字八幡附15の5)

土地

7,013.19坪

坪当り単価

680円

評価額

4,768,969円

交換渡地は、18年に電気通信研究所庁舎疎開予定敷地として購入したまま使用しなかった土地で、座間町がこれを町営住宅、緑地帯等の敷地とするため取得したものであり、交換受地は、現在の電気通信研究所の隣接地で、従来同研究所が借り入れていたものを、座間町が27年4月富士産業株式会社から4,558,573円(坪当り650円)で購入して同研究所に提供したものである。

 交換受地の価額はおおむね妥当であると認められるが、交換渡地の評価についてみると、田および畑は、自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令(昭和25年政令第288号)に基く政府買上価格により坪当り田16円80、畑7円278とし、山林は地方税法上の固定資産評価基準額により坪当り12円116としている。田および畑をこのような評価によったのは、交換当時座間町当局が、交換実施後は該土地を無断で耕作している者に対して農地関係法令に基く価格をもって払い下げることを同研究所に対し口頭で約束したためであるというが、町当局が公式に同研究所に提出した払下申請書には、前記のとおり町営住宅、緑地帯等の敷地として使用することが明記してあるばかりでなく、該土地は農地関係法令の適用を受けるべき性格のものでない(自作農創設特別措置法第16条の規定によれば、政府所有の農地を売り渡す場合は、同法施行令第12条の規定により、市町村農業委員会で自作農創設の目的に供することを相当であることの決定がなければならないのに、交換当時までに該土地については座間町農業委員会でそうした決定をしていない。)から、前記のような農地関係法令に基く政府買上価格による低価評価は処置当を得ないものと認められ、また、山林の価額を固定資産評価基準額によっているのは時価に比べで低価に失するものと認められる。

 また、土地と立木または家屋とを交換することは国有財産法第27条の規定に違反するばかりでなく、電気通信事業特別会計規程によれば、固定資産を交換する場合は、大臣に上申してその指示を受けなければならないこととなっているから、固定資産の交換については電気通信研究所長が単独に処分する権限はないものである。しかるに、本件交換は大臣の指示を受けることなく電気通信研究所長限りで行ったもので、このような交換をした理由について、同研究所は交換を急いだため大臣の指示を受ける余裕がなかったというが、交換受地は、同研究所敷地(35,917坪)の西南隅の一画で、当時厚生施設用地として予定していたものであり、また、本受地よりも同研究所運営上重要度が高いと認められる本受地の東側隣接地(3,109坪)を、28年3月に至って従来の借入先である富士産業株式会社から購入している事実に徴しても、本件交換は大臣の指示を受けられないほど差し迫った事態とは認められない。

 なお、本件交換渡地をその後27年10月、東京建物株式会社が調査したところ、27年3月ごろの推定額を、田600坪168,000円(坪当り280円)、畑51,460坪11,835,800円(坪当り230円)、山林50,023坪10,004,600円(坪当り200円)と評価している。