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  • 昭和27年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第3 日本電信電話公社(電気通信事業特別会計を含む。)|
  • 不当事項|
  • 物件

国際電信電話株式会社に対し物品を無償で譲渡したもの


(1810) 国際電信電話株式会社に対し物品を無償で譲渡したもの

 国際電信電話株式会社法(昭和27年法律第301号)により、昭和28年4月1日、国際電信電話事業が日本電信電話公社から分離され国際電信電話株式会社が発足するに際し、事業品約1063万円のものを同会社に有償で譲渡すべきであるのに無償で譲渡している。

 右は、公社の保守工事用の27年度末の未使用事業品であるが、本来保守工事用未使用事業品は、年度末決算にあたり貯蔵品または仮払品に繰りもどされ、年度末には未使用事業品としては皆無となるべき性質のもので、したがって、公社から国際電信電話株式会社に対する出資の目的としまたは譲渡すべき物品としての協定においても、貯蔵品、仮払品および整理品は指定してあったが、未使用事業品は指定していなかったものである。

 しかるに、現実には、この繰もどし処理を行わないで前記のとおり無償譲渡しているが、その事由としては、会社が事業開始後公社から会社に対し譲渡すべき物品の引渡しが完了するまでに相当期間を要するので、その間に必要な物品を使用することができないで事業遂行に支障をきたすことのないように最低必要量と認められるものについて処理したというのであるが、仮にこのような事情があるとしても、これをもって無償譲渡する正当な理由とは認められない。

 よって、これら公社の未使用事業品は貯蔵品または仮払品としたうえ譲渡すべき物品としての正規の取扱をし、会社に有償で譲渡すべきものである。