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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
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  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 租税

徴税に関し処置当を得ないもの


(54)−(93) 徴税に関し処置当を得ないもの

(部)租税及印紙収入(款)租税

 国税庁管下各税務署で、課税については、税法の適用または資料の収集等が当を得なかったため課税の公平を失し徴収不足または徴収不能となったものがあり、また、徴収については、未納の国税に充当すべき過誤納金を還付したり、財産調査が不十分なため差押の時期を失し不納欠損または滞納処分の執行停止をしたものなどがあり、そのおもなものをあげると次のとおりである。

(1) 法の適用当を得ないもの

(54)−(57)  青色申告の承認申請が法定の期限を過ぎて提出されたのに、青色申告制度の育成を事由としてこれを認めた結果、法人税の徴収不足をきたした計算となるものが左のとおり4件2,983,640円あるが、これは法人税法(昭和22年法律第28号)第25条第3項の規定に違反したゆるやかに過ぎる取扱と認められる。

税務署 年度 徴収不足額 青色申告として取り扱った事業年度 青色申告承認申請年月日 納税義務者
年月日 年月日
(54) 浪速 28 172,450 27,6,14から(設立)
28,5まで
28,3,11 株式会社国樹商店
(55) 149,690 27,4,16から(設立)
〃,9まで
27,7,18 株式会社三和倉庫
(56) 豊能 27  2,506,560 25,11から
26,10まで
26,5,31 正同化学工業株式会社
(57) 左京 154,940 26,4から
27,3まで
〃6,16 京都米穀株式会社
2,983,640

(2) 課税の時期を失したため時効が完成し徴収不能となったもの

(58)  岐阜南税務署で、岩田某が昭和23年11月岩田建設株式会社の株式払込資金4,010,000円を岩田某ほか3名に贈与しているのにこれについての資料の収集および署内の連絡が不十分であったため課税処理が遅延し、29年2月時効が完成して税額2,003,000円が徴収不能となるに至ったのはその処置当を得ない。

(3) 過誤納金等を未納の国税に充当徴収しなかったもの

(59)−(71)  過誤納となった国税、欠損繰もどしによる法人税還付金およびその還付加算金は、国税徴収法(明治30年法律第21号)第31条の5または法人税法(昭和22年法律第28号)第26条の4の規定により他の未納の国税(延滞金等を含む。)に充当することとなっているのに、未納額の調査不十分等によりこれを充当徴収することなく還付したものが左のとおり13件10,580,672円あって、一部についてはその後収納されたが29年9月末現在6,157,218円がなお収納に至っていない。

税務署 過誤納金等および還付加算金 還付年月 納税者 還付当時の他の未納の国税 同上中充当徴収すべき金額 収納未済額
(29,9,30現在)
年月
(59) 日本橋 所得税
還付加算金
208,270
12,790
27,6 米沢某 所得税 223,740 221,060 40,000
(60) 京橋 所得税
還付加算金
646,640
115,690
28,9 野本某 所得税および加算税 5,800,000 762,330 0
(61) 本郷 法人税
還付加算金
288,050
22,620
29,4 富士平工業株式会社 利子税および延滞加算税 195,870 195,870 191,786
(62) 下谷 法人税
還付加算金
6,246,640
2,722,070
27,12 凸版印刷株式会社 非戦災者特別税
延滞金
115,420
5,750
121,170 121,170
(63) 品川 法人税
還付加算金 
394,390
289,260
28,12 七恵興業株式会社 源泉徴収所得税 538,678 538,678 538,678
(64) 神奈川 還付加算金 132,370 〃,3 日産自動車株式会社 利子税 936,900 132,370 0
(65) 兵庫 法人税還付金
還付加算金
2,602,600
141,540
〃〃 日和産業株式会社 515,640 515,640 515,640
(66) 神飾 法人税 502,979 〃,1 株式会社水瀬製革所 利子税および延滞加算税 408,700 408,700 0
(67) 札幌 法人税
還付加算金
201,600
120,160
29,4 合資会社池内商店 294,520 294,520 150,000
(68) 法人税
還付加算金
6,000,000
1,000,280
〃〃 羽幌炭礦鉄道株式会社 3,833,410 3,833,410 3,833,410
(69) 一宮 還付加算金 330,180 28,9 株式会社加藤染工場 同  554,630 330,180 0
(70) 碧南 所得税
還付加算金
369,120
41,480
〃〃 杉浦某 226,554 226,554 194,444
(71) 大垣 法人税還付金 9,048,835 27,4 丸一産業株式会社 利子税等 3,000,190 3,000,190 572,090
10,580,672 6,157,218

(4) 滞納処分に関し処置当を得ないもの

(72)−(93)  納税者が督促状の指定期限までに税金を完納しないときは納税者の財産を差し押えることができるのであるが、各税務署の実情をみると、納付誓約等にたより、差し押えるべき財産があるのにこれを差し押えないためまたは不動産(または電話加入権)を差し押えながら差押登記(または登録)の嘱託を怠ったため納税者により他に売却され、しかも納税者は無財産または所在不明となり、やむを得ず滞納処分の執行停止または不納欠損の処理をしなければならなくなったものが多く見受けられる。また、差し押えた動産は納税者に保管させるものが多いが、差押物件の確認をしないで単に帳簿上の物品により差し押えるなどのため、その後調査すると現品が存在しなかったりまたは不符合となっていたりするものが見受けられ、はなはだしいのは滞納整理票を紛失してなんら徴収上の処置を執らなかったものもある状況であって、本院会計実地検査の結果判明したおもなものをあげると、神田ほか21税務署において左のとおり22件12,994,008円ある。

   税務署 滞納額 滞納税者
元年度および税目等 金額
(72) 神田 24年度所得税等
1,006,595
小早川某ほか1名
(73) 本郷 22年度所得税等 565,550 吉川某ほか1名
(74) 浅草 23年度所得税等 1,189,090 中森某
土地24坪、建物46坪を差し押えなかったため、26年8月から27年7月までの間に同人により売却され、しかも同人は無財産となり、28年6月滞納処分の執行停止をしている。
(75) 蒲田 20年度法人税等 182,419 株式会社唐沢鉄工所
(76) 渋谷 24年度所得税等 176,737 渡会某
(77) 淀橋 24年度源泉徴収所得税等 202,192 鉄道電材工業株式会社
(78) 荒川 21年度増加所得税等 785,469 尾身某ほか4名
(79) 江東 24年度源泉徴収所得税等 349,600 渡辺某ほか1名
(80) 川崎 23年度取引高税等 280,099 海老沢某
(81) 川口 23年度所得税等 2,385,718 川崎某ほか4名
(82) 川越 24年度財産税等 190,134 大野某
(83) 栃木 22年度源泉徴収所得税等 552,933 岡田木材工業株式会社
(84) 神戸 27年度法人税等 371,390 南和食品工業株式会社
(85) 函館 24年度源泉徴収所得税等 349,304 株式会社日本鋳工所ほか1名
(86) 仙台北 22年度所得税等 1,995,152 芳賀某ほか5名
(87) 弘前 23年度所得税等 174,738 豊田某
(88) 黒石 25年度法人税 667,393 有限会社黒繊
(89) 23年度源泉徴収所得税等 518,116 日新建設有限会社
(90) 岩国 24年度法人税等 358,244 渡辺紙業株式会社
(91) 尾道 22年度所得税 138,227 宮丸某
(92) 福岡 23年度源泉徴収所得税等 285,271 三協電気商会株式会社
(93) 川内 23年度物品税等 269,637 薩摩共栄工業株式会社
    12,994,008