大蔵省印刷局は、昭和28年度において日本銀行券25億4千5百余万枚、郵券類32億8千6百余万枚、官報2千3百余万部、発刊図書類8百余万部等を製造し、日本銀行券25億2700万枚(38億3千1百余万円)を日本銀行に、郵券類31億1千3百余万枚(4億4千余万円)を大蔵省または郵政省に売り渡し、その他官報2千2百余万部(1億8千6百余万円)および発刊図書類5百余万部(7千余万円)等を売り渡している。
28年度事業益金は8億6千4百余万円で、予定益金に比べで3億6千4百余万円、前年度に比べて5億6千2百余万円増加している。このように本会計の益金の増加したのは、主として日本銀行券の受注量の増加と損紙率の低下とによるものである。
一般会計への納付益金は、この利益金から固有資本の増加に充てる2億3千8百余万円を控除した6億2千5百余万円を納付すべきところ、現金が6億3千余万円あって前記納付金額に比較すると5百余万円の残余を生ずるので、この額は過年度益金未納額3億11百余万円の一部に充当したが、なお3億6百余万円の過年度益金未納付額がある。
28年度郵便はがき用紙所要量2,054トンのうち1,039トンを西大寺工場で抄造することとし、不足分1,015トンを約1億1千5百余万円で部外から購入しているが、同工場の郵便はがき用紙抄造可能な第5号抄紙機のか働状況をみると、年間抄造能力2,850トンに対し28年度中にはがき用紙1,135トン、銀行券用紙等1,000トン計2,135トンを抄造している状況である。
いま、仮に第5号抄紙機ではがき用紙の28年度所要量の全量2,054トン(ロスを含めると約2,500トン)を抄造することとすると、1日当り抄造能力9.5トンとしても260日程度のか働で足り、同抄紙機で,抄造した銀行券用紙等1,000トンについては、本機および他の局内工場の抄紙機の余力で抄造するよう計画することによりはがき用紙を部外から購入する要はなく、前記はがき用紙購入代金のうち相当額を節減することができたものと認められる。
よって、局内施設を高度に利用し、工場の作業能率の合理化について格段の配意が望ましい。
28年度末における印刷局の収納未済額は1億4千1百余万円で、うち官報図書類の売渡代金で収納未済となっているものが7千4百余万円ある。
右は、従来から同局で発行する官報等刊行物の普及を図るため官報販売所を指定し、その普及業務を委託している各都道府県官報販売所に売り渡した官報図書類の売渡代金2億5千8百余万円のうち、28年度末現在で7千4百余万円(売渡代金に対して29%)が収納未済となっているものであるが、特に京都府および新潟、富山、香川、鳥取各県の官報販売所における28年度末現在の収納未済額は1千8百余万円で、28年度上年期分も納入されていない状況であって収納状況が緩慢と認められるから、早急に回収を図るよう配意するとともに売渡の方法を改善すべきである。