資金運用部資金の昭和28年度末現在における運用資産は、同資金貸借対照表によれば8120億4千7百余万円となっているが、本院会計検査の結果によれば、前記金額は、大蔵本省および財務局等で貸付けおよび回収の実行日付によって作成する貸付金台帳等について調査した額8114億5千2百余万円との間に5億9千5百余万円の開差があるが、これは、大蔵省における同資金経理の主要簿である資金運用部原簿が主として日本銀行の計算報告によって記帳されているため、同原簿の運用残高には、日本銀行統轄店において年度末日までに計算されたものだけが計上されて、国庫代理店において同日までに取り扱った資金の回収および貸付けの未達額が計算されていないので差引回収額の増2億1千7百余万円が貸付金台帳等より多額に計上されていることと、取引店所在地外の国庫代理店等に対し貸付資金を送金したが貸付けが翌年度に行われたものをその年度に貸し付けたこととしているものなど3億7千8百余万円が貸付金台帳等より多額に計上されていることによるものである。したがって、同原簿の運用残高を記載した貸借対照表の表示は同資金運用の実体を示したものとは認められないところであって、これは、原簿が前記貸付金台帳等と遊離していることによるものであるから、今後財務局等からの報告に基いて原簿の記帳を行うなど改善の要があるものと認められる。