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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 物件

機械の管理著しく当を得ないもの


(950)−(951) 機械の管理著しく当を得ないもの

(組織)農林本省 (項)開拓事業費 ほか1科目

(950)  農林省で、昭和25年12月株式会社日鉄中央機械製作所から築堤機(バンキング・マシン)1基を14,744,901円で購入し、27年12月同会社に補修、運搬、組立等を請け負わせ東京農地事務局印旛沼手賀沼干拓建設事業所に搬入するなど14,973,896円を支出しているが、同機は、構造上現場の状況に適合しないばかりでなくその性能不良で実用に適せず、使用不能のまま現場に放置されている。

 右機械は、印旛沼疎水路工事に使用する目的で購入されたものであるが、公称能力毎時120立米、ブームの長さ32.75メートル、自重160トンにおよぶ大型なものでその構造は直線進行だけを考慮されているのに対して、前記工事現場は湿地帯で地盤の支持力は平米当り2.3トン程度の箇所が多く、現に、本機と同時期に購入した自重19トンのドラグラインでさえ使用が困難であったもので、本機のような自重の特に大きいものの使用はきわめて困難であることが予想されるばかりでなく、現場の地形は半径300メートル程度の曲線連続地点で本機の使用が不可能であることは容易に判明することができたものであるのに、漫然とこれを購入のうえ26年4月東京農地事務局へ保管転換したものである。しかして、同局においては、大阪の前記会社の工場に保管させていた本機について27年12月その解体、改造、補修、運搬、組立等を同会社に14,131,000円で請け負わせ、28年7月千葉市内の現場に搬入し、29年2月試験掘さく工事土量5,449立米を三幸建設工業株式会社に1,340,000円で請け負わせて施行したが、前記のように現場地盤が軟弱なため掘さくした水路が本機の重圧によりくずれ落ちて危険な状態となるばかりでなく、屈曲箇所の前進も不可能なため工事を続行することが不能となり、かつ、機械の故障が続出し、わずかに295立米を掘さくしただけで続行を中止するのやむなきに至り、その後そのまま現場に放置されている。

(951)  金沢農地事務局で、昭和28年10月酒井建設工業株式会社に九頭龍川農業水利事業頭首工背割工第1期ほか1工事を8,810,000円で請け負わせ代金の全額を支出しているが、同工事の掘さくに使用させるため請負人に無償貸与したブルドーザー2台の整備およびキャタピラーの交換に要する経費3,870,505円を請負代金中に見込んでいるのに、その整備等をほとんど行わせることなくそのまま1台を他事業所に保管転換し、他の1台を工事現場に放置している。

 右機械は、同会社に随意契約により請負わせた前記工事に使用させるもので、工事完了後すみやかに定期整備およびキャタピラーの交換を施行させることとし、前記3,870,505円を請負額に含め29年4月その全額を支払ったものであるのに、29年7月本院会計実地検査の際の調査によると、1台はキャタピラーの交換を行うことなくわずか535,295円相当の整備を行なっただけで荒川農業水利事業所へ保管転換され、また、1台は整備およびキャタピラー交換を全く実施することなくそのまま工事現場に放置されている。