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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
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アルゼンチン小麦の購入にあたり処置当を得ないもの


(1862) アルゼンチン小麦の購入にあたり処置当を得ないもの

(項)食糧買入費

 食糧庁で、昭和28年7月、丸紅株式会社ほか19会社と購入契約を締結し、11月から29年2月までの問に輸入されたアルゼンチン小麦76,078トン2,910,743,871円は、品質が粗悪で高価に当り不経済な結果をきたしている。

 右アルゼンチン小麦は、28年4月日本国とアルゼンチン共和国との間に締結された貿易取決めに基いて、前記会社と、虫害粒混入限度1%以下のものとして輸入港本船船側渡価格トン当り37,908円から38,379円平均38,259円で購入契約したものであるが、28年度に輸入された他国産の小麦は、トン当り25,084円から35,115円平均29,091円であるのに比べて約9,000円高価となっており、品質は発地検定人の検査では合格(虫害粒混入2%以内)となっているが、着地食糧事務所の検査では契約に定められた容積重量にみたなかったり、異物砕粒の混入率がその限度を超過していたり、虫食いがはなはだしく最高は5.5%に達し、その大半が不合格となっている状況で、普通粉の加工歩留りは他国産小麦の76.5%から79.5%程度であるのに対し平均70%程度の低率となり、売渡価格もトン当り35,360円加工歩留り73%のもの)となっていて、他国産の標準売渡価格(加工歩留り77.5%から79.5%)より1,130円程度低価に見込まれ、結局、本件小麦は29年9月までに51,068トンをトン当り33,975円から35,377円総額1,788,708,992円で買入価額計1,953,893,409円から165,184,417円を値引して売り渡しほかに22,888トンを製粉加工のため払い出したものである。

 しかし、アルゼンチン小麦は、24、25両年度に約20万トンを輸入したが、28年度になっても、1千8百余トンが持ち越されており、品質が不良であったことは本件購入当時判明していたもので、本件小麦の輸入にあたっては、かさねて不良品を輸入することのないよう適宜の処置を講ずべきであったと認められるばかりでなく、同国の1951年7月改定の小麦規格によると、等級にかかわらず、虫害粒混入の許容限度は通常2%で、端境期には4%に引き上げることとしているのにこれを調査することなく漫然と改定前の虫害粒の許容限度1%以下のものとして購入し、しかも虫害の多いことの予想される9月から12月までの間に多量を船積して輸入し、結局多額の損失をきたすに至ったのは貿易取決めその他の事情があったことを考慮するとしても、その処置当を得たものとは認められない。