青森営林局で、昭和28年3月、国有林野整備臨時措置法(昭和26年法律第247号)により岩手県稗貫郡湯本村に同村所在の国有林86町7反および地上立木を随意契約で5,760,000円で売り渡しているが、立木の材積を過少に見積ったため2,156,223円低価となっているばかりでなく、同村は買受林地の一部を地上立木とともに他に譲渡していて買受人に林野を適正に経営させることを目的とする売渡の趣旨に反する結果となっている。
右は、売渡予定価格を土地86町7反482,365円、立木あかまつ等14,134石および伐期令級未満あかまつ等2町4反4,795,136円計5,277,501円とし、前記価格で売り渡したものであるが、売渡当時の花巻およびその近傍の営林署におけるあかまつ素材の公売実績は右売渡価額の基礎となった売渡基準価格よりも50%前後上回っていたのであるから、本件売渡にあたっては、これを参しやくして価格を決定すべきであると認められるのにこれを考慮しなかったばかりでなく、実際の立木材積は20,411石であるのに調査を誤って14,134石としたため材積の相違による価格差だけみても2,156,223円低価となっている。
国有林野整備臨時措置法による本件売渡は買受人に当該林野を適正に経営させることを目的として売り渡したものであるのに、湯本村はこの趣旨に反し買受林地および立木のうち林地40町1反を立米12,453石とともに3月湯本村農業協同組合に譲渡し12,334,000円の寄付を受けているほか、2月および3月佐藤某ほか1名に立木4,740石を5,050,000円で売り渡している。
なお、材積の相違により低価となっていた前記2,156,223円については本院の注意により11月契約を更改し、これを追徴した。