中小企業庁(旧商工省、通商産業省)で、昭和22年度から27年度までの間に、中小企業等協同組合に対し共同施設費補助金として955事項480,751,775円を交付したものがあるが、このうち29年中本院において131事項(国庫補助金84,034,000円)の実情について調査したところ、組合が解散しもしくは解散同様となりまたは施設を処分しているもの、施設を目的外に使用しているもの、施設を個人が専用しているもの、施設が全く使用されておらず今後の使用見込もないものなど計20事項10,595,000円あり、また、本件国庫補助金の交付にあたっては、毎決算期ごとに決算諸表および利用状況報告書を提出させて決算の結果剰余金が生じた場合には国庫補助金の年賦償還をさせることとしているが、剰余金が生じているのに償還をさせていないもの1事項331,400円、組合決算諸表を徴していないもの101事項、提出済のもので要償還額を算出しているのに徴収決定をしていないものが47事項2,237,745円ある状況に照らし、組合の運営と施設の運用の実態をは握し、国庫補助金交付後の指導監督に一層の努力が望ましい。
いま、前記事態のおもな事例をあげると左のとおりである。
組合名 | 補助対象施設 | 交付年度 | 補助対象額 | 国庫補助金交付済額 | 摘要 | ||
年度 | 円 | 円 | |||||
(1887) | 東京都 東京自転車タイヤ工業協同組合 |
建物(倉庫、宿直室)92.09坪 | 25 | 3,539,600 | 1,769,000 | { | 組合は29年1月解散し、施設は他へ売却している。 |
(1888) | 同 東京都自転車タイヤ再製工業協同組合 |
トランス2台ほか3 (工事費を含む。) |
〃 | 1,711,500 | { | 組合は28年6月休業届を税務署に提出しており、30キロトランス2台を売却している。 | |
建物(共同作業場)8坪 | 128,000 | ||||||
計 | 1,839,500 | 919,000 | |||||
(1889) | 東京都 中央自転車工業協同組合 |
建物(製品倉庫、荷造所)32坪 | 535,490 | 建物は目的外の事務室、会議室として使用し、うち11坪は28年3月以降月額30,000円で他へ貸与し、貸与先で改造使用している。 | |||
自動車1台 | 25 | 550,000 | |||||
計 | 1,085,490 | 542,000 | |||||
(1890) | 同 東京都履物連鎖企業組合 |
焼ま装置 | 96,032 | 建物は目的外の店舗、住宅、事務所等に使用しており、焼ま装置は購入当初から使用せず今後の使用見込もない。 | |||
建物(作業場兼倉庫)19.5坪 | 26 | 389,631 | |||||
計 | 485,663 | 200,000 | |||||
(1891) | 鹿児島県 鹿児島県竹材加工工業協同組合 |
ボイラーほか1(工事費を含む。) | 441,400 | 施設は設置後ほとんど使用者もないまま27年10月ごろから組合理事が賃貸契約を締結して個人で専用している。 | |||
建物(釣竿油抜工作室、ボイラー油抜室)63坪 | 23 | 654,000 | |||||
計 | 1,095,400 | 350,000 | |||||
(1892) | 同 企業組合共栄木製品製作所 |
ロータリー機ほか4 | 26 | 420,000 | 200,000 | { | 施設は組合監事が個人で専用している。 |
(1893) | 東京都 青梅織物工業協同組合 |
経糸のり付機 | 24 | 1,350,000 | 400,000 | { | 施設設置当時(25年)わずかにか働しただけで26年以降はか働せず、今後の使用見込もない。 |