(項)生産及収納費
通商産業省軽工業局で、アルコール原料糖みつを内外輸送株式会社に輸送させるについて、料金算定の基礎としたもののうち、工場引込線の貨車手押賃を実情に即して算定しなかったため、約200万円高価に積算されていると認められるものがある。
右は、同局が前記会社に昭和28年2月および5月新興、門司、三角各駅から千葉ほか5アルコール工場まで糖みつを運送させるについて、トン当り単価1,945円(28年5月16日以降の分2,144円)として契約したもので、実際の運送量24,576.53トンに対し料金として52,123,922円を東京、福岡両通商産業局で支払っている。
この運送賃の単価についてみると、これは前記各駅から千葉ほか5アルコール工場までの所要経費である貨車運賃ほか6費目を区間別に計算し、これに各別の年度内輸送見込数量による加重平均単価を算出し、一般管理費および運輸間接費を加えてこれをプール運送賃単価として決定したものであるが、その内訳費目のうち貨車手押賃は、各工場の引込線全区間を全量手押することとしてトン当り63円68から119円43まで(旧契約分69円22から131円51まで)と積算している。しかし、各工場においては、貨車の発着に伴う引込線上の移動は手押を行なっている場合もあるが、大部分はアルコール工場で借り上げた日本国有鉄道の機関車により行われている状況で、日本国有鉄道では工場の要求する任意の場所に貨車を置いており、必ずしも手押を必要としない実情であって、現に、28年度における内外輸送株式会社の支払実績をみても、前記支払代価のうちに貨車手押賃2,466,217円が積算されているのに対し152,876円にすぎず、各工場別の実績をみれば、支払皆無のもの、最高のものでトン当り単価は39円57となっている。このような事態は、前年度の実績においてもほぼ同様で、最高トン当り22円01となっているにすぎないのに、本件運送賃の積算にあたり、これらの事情が考慮されなかったのは遺憾である。
いま、仮に貨車手押賃を前記28年度の実績によって計算しても、トン当り単価は旧契約分1,844円、新契約分2,052円となり約200万円を節減することができた計算となる。