(項)生産及収納費
アルコールの生産計画ならびに実施において、不適当な時期に生甘しょによる追加割当をし、更にこれを取り消して民営工場に割り当てているが、その間の処置適切を欠いたため不経済となったものがある。
通商産業省軽工業局で、福岡通商産業局出水ほか2アルコール工場の昭和28年度生甘しょによるアルコール生産計画量を1,900キロリットルとして実施に移したところ、28年12月需要増を見込んで右3工場に生甘しょ原料アルコール450キロリットルの生産を追加割当したが、29年1月に至って生甘しょで生産することは不利益になるというので右の追加割当を取り消し、同時に、協和醗酵工業株式会社に対し糖みつによる生産割当500キロリットルを追加したものである。
しかし、生甘しょによるアルコールの追加生産割当をした当時は生甘しょの出回期は過ぎ、価格の高騰は十分予想することができたはずであるから、生甘しょによる追加割当をしないで当初から糖みつ原料による生産計画を立てるべきであったと認められ、しかも追加割当の取消について本省から工場までの間の連絡が適切に行われなかったため前記3工場では169,058貫の生甘しょの手当を行い、アルコールも割当外に113キロリットルを生産する結果となったが、右追加分生甘しょの購入価格はそれ以前に購入したものに比べで10貫当り約96円高価に当り約160万円の不経済を生じている。
なお、28年度末における全国アルコール製品の在庫量は4,676キロリットルの多量に達しているが、通常年度末の在庫量は3,000キロリットルから3,500キロリットルで足りている実情から、前記追加割当分500キロリットルは少なくとも当年度においては生産の要はなかったものである。