昭和28年度運輸省所管歳出決算総額は254億5千5百余万円となっているが、本年度も従来と同様に海上保安庁その他の経理および地方公共団体が施行する港湾の改修および災害復旧国庫負担工事に重点を置き会計検査を実施したところ、前年度まで連年多数の不当事項があった海上保安庁の経理には改善のみるべきものがあったが、地方公共団体の施行した港湾工事については従来と同じく工事の出来高が不足しているもの、設計が過大なもの、災害復旧とは認められない改良工事を施行したものなどが多く、なかには事業主体が正当な自己負担をしないで国庫負担金だけ、あるいはこれ以下の金額で工事を完成しているものも発見されており国庫負担金を除外すべき額1工事10万円以上のものが157工事国庫負担金5千1百余万円に上っている。
しかして、本年度は、特に災害復旧工事について従来多数の不当事項が発生している事実にかんがみ、災害復旧の査定に対し工事施行前にその当否を調査したところ、二重査定、災害便乗、設計過大となっているものが相当数に上り、運輸省において本院の注意により工事費において2億8千3百余万円を減額是正することとなった。
また、歳入については、地方海運局においてモーターボート競走法(昭和26年法律第242号)に基いて徴収する納付金として2億9千8百余万円を徴収決定しているが、1億5千6百余万円を収納しただけで1億4千1百余万円が収納未済となっており、特に近畿海運局においては、徴収決定済額3千2百余万円のうち29年11月末現在において98万余円を収納しただけでその大部分が収納未済となっているものがある。