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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第11 労働省

(失業保険特別会計)


(失業保険特別会計)

昭和28年度の損益の状況は、利益の部、保険料収入等317億8千2百余万円、損失の部、保険金等272億1百余万円で差引45億8千余万円の利益となり、これに前年度からの繰越利益金239億4千1百余万円を加えると年度末における繰越利益金の総額は285億2千2百余万円となっていて、この会計の資金運用部に預入されている積立金は261億9千7百余万円となっている。

 このように、この会計は28年度の決算面からみれば比較的安定した状態で推移しているようであるが、同年度第4・四半期に至っては失業者の増加が顕著になり、28年中月間35万人前後で給付金額も19億円を上下していたものが、29年にはいって月間40万人をこえ給付金額も28億円に達しており、29年度末において積立金から多額の繰入が予測される。

 なお、既往年度の収納未済額は9億9千9百余万円あり、保険料の徴収不足については毎年検査報告に掲記しているところであるが、本年度においても別項に記載したような事例(2022−2029) を生じており、なお一層適正を図るように注意を要する。

 また、この会計においては、多額の支払余裕金を生じていることになっているが、支払元受高差引簿の記載も十分でなく、収支の計算が常時適確には、握されていない。これは、各都道府県にある関係部局との連絡に相当日時を要する事情もあるが、これらの面に改善を図れば運用収入の増加を図る余地もあるものと認められるから一段の努力が望ましい。