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  • 昭和28年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第4節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第12 建設省

(一般会計)


(一般会計)

 建設省の支出した河川改修、道路改良直轄工事および災害復旧国庫負担工事等に要した経費は1321億4千5百余万円に上っている。

 各地方建設局管下工事事務所等167箇所のうち51箇所についてその実地を検査したところ、その結果、計画または施行が当を得ないため不経済な結果をきたしたもの、監督、検収等が不十分なため施行が粗漏で工事の目的を達せず手直しを要するものおよび設計に比べ工事の出来高が不足しているもの、あるいは工事費の積算を誤ったため高価となったと認められるものがある。

 しかして、近時多目的ダムの事業量が増大し、28年度においては北海道を除き16箇所支出額34億9千6百余万円に達しており、本格的な工事に進んでいるもののうち7箇所28億8百余万円についてその実地を検査したが、その結果、前年度に引続き同種の工事を請け負わせている基礎掘さく、コンクリート打設工事において、前年度の歩掛りの実績を勘案して工事費を節減すべき配意と努力が足りないと認められるものがあるほか、ダムの本体工事に伴う付帯工事において設計および工事の監督、検収がおろそかになる傾向があり、出来高が不足しているもの、設計が現地に適合しないで工事費の積算が過大となっている事例が見受けられている。

 なお、本省所管の公共事業については、従来から工事費予算の箇所別配分が総花的に流れて経費予算が分散され、予算が効率的に使用されていないばかりでなく、全体にわたって工事の完成が著しく遅延している傾向が見受けられる。

 地方公共団体が施行する国庫負担工事等に対しては、827億6千9百余万円を交付したが、本年度においても、災害復旧につき特に市町村が施行する工事を重点的に検査したところ、前年度と同様に架空の工事、設計に対し工事の出来高が不足しているもの、設計が過大なもの、工事の施行が粗漏で補助の目的を達していないもの、災害復旧とは認められない改良工事を施行しているものなどが多かったばかりでなく法律上要請される事業主体の負担分を負担していないものも多く、結局、国庫負担金を除外すべき額1工事10万円以上のものが451工事国庫負担金1億3千8百余万円に上っている。

 また、従来本院において事後に発見する不当事項のうちには災害復旧事業の査定上の欠陥によるものが多数に上ると認められるばかりでなく、28年災害復旧費が未曽有の多額に上る実情にかんがみ、不当事項を早期に是正させてその発生を未然に防止するため、28年発生災害に対し従来どおりの事後検査とあわせ早期に調査を行なったところ、二重査定、災害便乗、設計過大等が多数発見され、建設省においては本院の注意により工事費において20億5千余万円を減額是正することとなった。