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  • 昭和28年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項

日本専売公社


第1 日本専売公社

(事業概要について)

  日本専売公社の昭和28年度における事業の概要についてみると、

(1) たばこ事業

 製造たばこの販売実績は968億5千7百余万本、金額2123億3千1百余万円に及び、これを前年度に比較すると数量で86億8百余万本、金額にして231億1千6百余万円の増加であり、国民1人当りの年間消費量についてみると1112本に達し、戦前戦後を通じ最高の記録である。
 これに対する製造は971億3千5百余万本で、前年度に比較し67億6百余万本の増加を示しているが、販売の累増に対し製造も年々増加の一途をたどり、現有製造設備能力をもってしては充足することができないので、山形、米子両刻工場の両切工場への転換、京都、仙台両工場の改設、茨木工場の新設等着々設備を拡張中である。

(2) 塩事業

 同年度における塩の販売数量は、217万7千余トン金額194億9千5百余万円で、これを前年度に比較すると、数量で39万1千余トン、金額にして1億1千9百余万円の増加である。
 国内塩の生産は、50万余トン計画に対し45万4千余トンを生産したが、その生産は販売全量に対し20%余にすぎない状況である。日本専売公社では、食料用塩として消費されるものを国内で生産することができるように増産計画を立て、その目標を70万トンとし、その達成方法として、27年制定された製塩施設法(昭和27年法律第228号)によって多額の補助金を交付して塩田の流下式転換等を奨励しているが、災害にわざわいされたとはいえ、まだその成果はみるべきものがない。
 輸入塩においては、137万3千余トンを輸入し、その代価46億9千2百余万円を要したが、前年度146万余トン82億5千9百余万円に比べて数量において8万6千余トン代価において35億6千7百余万円を減少した。このような代価の減少は、輸入価格(主として海上運賃)が著しく低価になったことによるものである。

(事業損益について)

 日本専売公社の28年度の事業益金は、1631億6千3百余万円で、前年度に比べて176億8千余万円、予定に比べて56億7千2百余万円をいずれも増加しているが、これを事業別にみると、たばこ事業において1607億6千7百余万円の利益、塩事業において24億2千2百余万円の利益を生じ、一方、しょう脳事業において27百余万円損失を生じている。
 たばこ事業の益金は、前年度1461億5千4百余万円に比べて146億1千3百余万円の増加を示しているが、これは主としてピースの売行が著しく増加したためである。塩事業の益金は、前年度6億8千5百余万円の損失に比べて31億8百余万円の増加となるが、前年度において、26年度からの高価な繰越輸入塩の保有高を勘案しないで当時の低価な輸入価格を基礎として売渡価格を決定し損失を生じたのに対し、海運市況が一応安定したので本年度からできるだけ安定した塩価を維持することができるよう保有塩の価格を考慮して売渡価格を決定したが、輸入塩の輸入価格がその見込価格を下回った結果である。
 専売納付金として国庫に納付した額は、前記事業益金1631億6千3百余万円から本年度中に増加した固定資産および無形資産の合計額を控除した1592億2千2百余万円であって、これを前年度に比べると255億4百余万円(19%)の増加、本年度予定納付金1504億5千8百余万円に比べると87億6千4百余万円(5.8%)の増加であり、一般会計収納済額の13%を占めている。