日本国有鉄道東北地方資材部で、昭和28年5月から29年2月までの間に3回にわたり、公開入札により峰岸某ほか1名から腕木(66ミリメートル×66ミリメートル×2,400ミリメートル)31,065本を価額16,535,882円で購入しているが、予定価格の積算が過大に失したため、関東、新潟両地方資材部で前記峰岸某から購入したもの(平均単価411円)に比べるときわめて高く総額約370万円高価となっているものと認められる。
右は、予定単価を1本当り520円から565円までとし518円から565円までで契約したものであるが、その予定価格の内容を調査すると次のとおりその積算が過大に失しているものがある。
(1) 木材の歩留りについては、木材の需給統制が行われていた当時の農林省木材割当需給調整要領による歩留りによって28年5月契約分33%、6月および29年2月契約分32%としているが、前記要領によるかつ葉樹の普通製材歩留りが50%であったものが、契約当時では、農林省統計調査部の調査によれば55%または56%に向上している点から推定して腕木の歩留りも1割程度は上昇しているものと認められるのに、25年1月廃止となった前記要領による低い歩留りをそのまま採用している。
現に、関東地方資材部では歩留り40%、また、新潟地方資材部では歩留り35%として予定価格を積算している。
(2) 製材加工賃は石当り500円としているが、関東地方資材部では220円、新潟地方資材部では260円である点からみて著しく過大である。
(3) 諸経費は、28年5月契約分27.1%、6月契約分24%、29年2月契約分20.5%と算定しているが、残材の利用価値を考慮すれば諸経費は著しく高率であると認められ、現に、関東地方資材部の場合16%、新潟地方資材部の場合5%としている。