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  • 昭和28年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 役務

石炭がらの処理当を得ないもの


(2219)−(2220) 石炭がらの処理当を得ないもの

(2219)  日本国有鉄道東京鉄道管理局で、管内各駅および機関区構内等から発生する石炭がらを取り捨てるため、その貨車積込および取捨作業(貨車運搬は日本国有鉄道において実施する。)を指名競争契約により株式会社鉄道潤生会および交通工業株式会社にそれぞれ請け負わせ、昭和28年度中に左のとおり、

請負業者名 積込 取捨
数量 金額 数量 金額

株式会社鉄道潤生会
立米
36,188.43

2,358,727
立米
46,324.63

2,779,477
交通工業株式会社 27,987.83 1,654,338 39,262.75 2,355,765
64,176.26 4,013,065 85,587.38 5,135,242

計9,148,307円を支払ったものがあるが、石炭がらの利用価値に対する考慮が足りなかったため著しく不経済となっている。

 右契約にあたっては、28年度中の総発生数量を117,180立米と見込み、うち請負積込数量を101,410立米、請負取捨数量を114,080立米とし、その経費を前者8,000,000円、後者7,800,000円計15,800,000円と見込み、取捨数量のうち25%相当量28,520立米は立米当り60円総額1,700,000円で売り渡すことができるものとして経費と売渡価額との比率11%を基礎単価から差し引き、予定価格を左のとおり決定し、これと同一または近い価格で契約している。


A地区(株式会社鉄道潤生会請負分) B地区(交通工業株式会社請負分)
積込 取捨 積込 取捨
一般駅構内
予定価格

80

61

78

61
契約〃 78 60 76 60
機関区 予定〃 61 61 59 61
契約〃 60 60

 しかし、一般に石炭がらは、東京のような都会地では敷地造成あるいは道路工事等にその需要が多いものと認められるばかりでなく、前記請負業者の処理状況についてみても大部分は下請業者に貨車取卸手間を負担させ、下請業者は他に売り渡している状況で、しかも、取卸駅までの輸送費用は日本国有鉄道の負担であるから、取捨数量のうち25%を除く75%について利用価値がないと見込んでいるのは取引の実情を無視したものであって妥当とは認められない。現に、大阪、天王寺両鉄道管理局では、積卸の経費を負担しないで、しかも、立米当り1円で売り渡している状況である。

 いま、仮に取捨量全量について当局者の見込単価前記立米60円で売り渡すことができるものと見込めば、売渡価額は総額6,844,800円となり、これの経費に対する比率43.3%を基礎単価から差し引いたものを予定価格とし、これにより契約したとすれば、28年度の取扱数量において約320万円は低価に契約することができたものと認められる。
 なお、本件契約の履行状況をみると、契約条項によれば、積込および取捨作業の完了にあたって保線区長がこれを検認することになっているのに、事実はその取扱をしておらず、着駅で取り卸したとして検認している貨車で、到着していることが判明しないものがあったり(亀有駅)、石炭がらとして検認しているものが貨物通知書では土砂となっているものがあったり(亀有駅)、受領人は着駅管轄の保線区長となっているのに、着駅では請負人またはその下請人が自己の受領印で受領していたり(金町、亀有両駅)、着駅貨物掛が架空の保線区長の印で受領して、これを請負人に引き渡したり(恵比寿駅)、発送の際担当保線区長が指定した着駅で取り卸さずに、請負人の依頼により無賃扱いで現車のまま他駅に転送しあるいは着駅でいったん取り卸したものを新たに積み込み他駅に発送したり(金町、亀有両駅)、発送担当の保線区長がなつ印済の未記入貨物運送状を発駅貨物掛に一括引き渡し、これにより後日請負人の要請により、その希望する駅に石炭がらを輸送したり(田端駅)していて、保線区、駅ともに石炭がらの取扱についてははなはだ遺憾の点が多い。

 右のほか、東京鉄道管理局管内各保線区で、28年度中施行した道床更換工事に伴い発生した土砂についても石炭がらと同様土木材料としては好適なものであり、事実上工事請負業者は、直接にまたは株式会社鉄道潤生会を通じて一般に売却している実情であるのに、工事費積算においてこうした事情を考慮していないのは当を得ない。

(2220)  日本国有鉄道天王寺鉄道管理局で、昭和28年3月、大阪土木工業株式会社に、浪速大阪港間線路扛上その8工事を4,408,155円で請け負わせているが、これに使用する石炭がら20,374立米は全部請負人が貨車積込を施行することになっているのに、そのうち12,702立米は関係機関区職員が積込を施行し、しかも、これに対する積込費相当額(立米当り75円)を減額する処置を執っていないのは当を得ない。
 いま、仮にこの積込費相当額を請負代金から減額させる処置を執っていたとすれば、その額は952,650円となる計算である。
 また、同鉄道管理局和歌山ほか3保線区で、28年度中に、同会社に石炭がら11,846立米の貨車積込を総額1,448,232円(立米当り106円から123までの計算となる。)で請け負わせているが、そのうち3,620立米については関係機関区職員が積込を施行し、しかも、これに対する積込費相当額438,157円を減額していないのは処置当を得ない。