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  • 昭和28年度|
  • 第3章 政府関係機関の会計|
  • 第2節 各政府関係機関別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
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機関車直通運転契約を改訂しないて不利となっているもの


(2224) 機関車直通運転契約を改訂しないで不利となっているもの

 日本国有鉄道東京鉄道管理局で、昭和25年9月以降相模鉄道株式会社と機関車の直通運転契約を締結しているが、その約定内容が実際の輸送状況と一致しなくなったのに改訂の処置を講じなかったため28年度中だけでも約330万円不利な契約となっているものがある。

 右は、連合国軍用資材約7万トンを日本国有鉄道相模線所在の各駅から厚木駅を経由して、相模鉄道株式会社線相模大塚駅および同駅から分岐する連合国軍専用側線(鹿島組専用側線を含む。)に輸送するにあたり、会社側にその輸送能力がないため、その要請により日本国有鉄道所有の機関車による直通運転を行うこととし、25年9月、連絡運輸取扱細則に基いて会社との間に直通運転に関する契約を締結し、日本国有鉄道は、直通貨物について国鉄線(相模線各駅から厚木駅までの間)内の貨物運送料金を収めることができるほかに、この契約により会社線内については機関車運転料として厚木駅、相模大塚駅間(6.6キロメートル)を1往復3,920円(26年11月以降4,200円)、専用側線内(2.6キロメートル)1往復1,680円(26年11月以降1,800円)の計算で収入金を収めることとしたものである。しかし、右連合国軍用資材の輸送はその後逐次減少し、27年10月ごろには既に国鉄線内においては、このため特に貨物列車を編成して運転する必要がなくなったため、本契約による直通運転列車は機関区所在地茅ヶ崎駅から厚木駅まで14.2キロメートルの間を機関車だけで運転し、この機関車を厚木駅と会社線相模大塚駅との間および専用側線の貨物列車けん引用に使用しているにすぎず、事実上直通運転を廃止している状況であり、したがって、国鉄線内での貨物運送料金は全然収めることができなくなっていたのであるから、遅くとも27年度中には直通運転契約を機関車の貸渡契約に改訂すべき事態であったと考えられる。いま、仮に28年度分について機関車の貸渡形式によった場合の収入額を機関車の直通運転契約による収入額と比較すると、

貸渡の場合 3,796,000円
直通運転の場合 2,854,800円
差引 941,200円

の収入増加となるばかりでなく、直通運転のために日本国有鉄道で支弁した石炭費約170万円、人件費約70万円計約240万円(28年度分)は機関車の貸渡契約によったとすれば負担する必要がなかったものである。

の収入増加となるばかりでなく、直通運転のために日本国有鉄道で支弁した石炭費約170万円、人件費約70万円計約240万円(28年度分)は機関車の貸渡契約によったとすれば負担する必要がなかったものである。