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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第2 総理府|
  • (調達庁)|
  • 不当事項|
  • 役務

関係各機関の連絡調整が不十分なため不経済な借料を支払ったもの


(2) 関係各機関の連絡調整が不十分なため不経済な借料を支払ったもの

(組織)調達庁 (項)防衛支出金

 東京、横浜両調達局で、駐留軍に提供した建物等に対する昭和28年12月から30年10月までの間の借料として184,004,910円を支払ったものがあるが、右は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定により駐留軍が大都市の中心部から周辺地区に移動することとなり、これに必要な建物等の代替施設工事を建設省において安全保障諸費支弁により27年度から29年度までに16,872,324,160円で施行し、右代替施設工事が完成しているのに関係各機関の連絡調整が不十分なため引渡が遅れたなどの事情によりその完成とともに返還する予定の在来建物等に対する借料として支払ったもので、不経済な結果となっていると認められる。
 いま、その事例をあげると、次のとおり

(ア) 工事費約73億9000万円の施股が完成しているのに提供する施設および区域の限界または電話施設の維持費、使用料の分担についての解決が遅延したり、代替施設が完成した場合の移転について明らかなとりきめを行なっていなかったなどのため移転が遅れ、従来から民有建物等を借り受けて駐留軍に提供している建物等が使用解除されないもので、これに対し引続き借料を支払ったものが30年10月現在において麻布宿舎地区ほか7地区分177,748,602円、

(イ) 代替施設の建設決定後敷地の調査、技術的な検討に著しく日時を要し、このため工事着手が遅れひいて完成が遅れたり、30年10月末にいたるもまだ完成していないため引続き借料を支払う結果となったものが深川貯油施設ほか2地区分4,373,448円、

(ウ) 予定どおり工事に着手したが、駐留軍が提供することとした一部建設資材の搬入が遅れたため工事が一時中止となり完成も遅延し、その間の借料を支払う結果を招いているものが白井宿舎地区分1,882,860円

になっている。

 このような結果を生じているのは、調達庁、外務省、大蔵省、建設省等の関係各庁だけで決定することができない事情があるとしても、関係各庁が緊密に連絡するほか駐留軍との交渉についても一段の努力を払ったならばこのような事態はさらに改善されたものと認められる。