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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第5 大蔵省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 物件

土地の売渡価額が低価に失したもの


(54) 土地の売渡価額が低価に失したもの

(部)政府資産整理収入 (款)国有財産処分収入 (項)国有財産売払代

 関東財務局で、昭和29年10月、随意契約により東京電力株式会社に対し川崎市所在元陸軍燃料廠第一貯蔵所第二分所の土地1,815坪および工作物(鉄筋コンクリート造油そう防護壁1個および万代塀94間)を価額7,585,950円で売り渡しているが、会社の買受申出最高価額より約380万円低価となっている。
 右の土地は、東京電力株式会社の鶴見火力発電所に隣接した地域で、21年5月以降昭和電工株式会社が使用し、買受申請中の土地の一部であったが、火力発電所増設工事のため昭和電工株式会社から返還させ、土地を坪当り3,800円(次表上欄参照) 価額6,898,680円、工作物を価額687,270円計7,585,950円と評定して売り渡したものである。しかし、売買契約締結前29年9月東京電力株式会社が工事に着手するにあたり当局の許可を得る際提出した請書によれば、土地を坪当り5,930円価額10,765,560円、工作物を価額687,270円計11,452,830円と見積り、その範囲内で買受方を申し出ており、右請書の土地坪当り5,930円は、本院の調査による評定価格坪当り5,672円(次表下欄参照) と比べても過当な価額とは認められないのに、買受申出価額より著しく低価な右評定価格によって売り渡したものである。
 いま、仮に土地、工作物をいずれも東京電力株式会社の見積価格により売り渡したとすれば、本件売渡価額に比べ約380万円高価となる計算である。

区分 当局の計算 本院の計算
価格 算定の概要 価格 算定の概要

相続税財産評価基準からみたもの

5,915

48級の29年課税基準額4,140円は時価の7割に相当するとして0.7で除したもの

6,896

29年課税基準額は28年9月の時価をとってあるので、売渡時までの値上り率16.6%を当局の計算に加算したもの
固定資産課税台帳登録価格からみたもの 3,560 29年課税台帳登録価格2,373円は時価の7割に相当するとして1.5倍したもの 6,990 川崎市について調査したところ、29年課税台帳登録価格2,330円は時価の3分の1程度であるためこれを3倍したもの
財産税課税評価基準からみたもの 3,605 21年3月財産税課税時の評価額72円にその後の値上り率50.07を乗じたもの 3,605 上欄に同じ。
精通者の意見によるもの 2,900 某信託銀行株式会社不動産部に電話照会したとしているもの 6,000 上欄と同一の信託銀行株式会社不動産部ほか1会社に照会したもの
平均価格 4,000
5,872
整地費 200
200
評定価格 3,800
5,672