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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 厚生省

(厚生保険特別会計)


(厚生保険特別会計)

 昭和29年度における健康勘定の損益計算書によると、保険料収入等収益393億1千5百余万円、保険給付費等費用433億4千2百余万円で差引40億2千7百余万円の損失となっているが、なお、貸借対照表において資産に計上された保険料の未収金中今後の処理如何によっては不納欠損となるおそれのあるものが11億1千7百余万円ある。
 このように損失を生ずるにいたったのは、26年度以降結核対策の強化等による受診率の増加、数次にわたる入院料点数の引上げ、療養給付の内容充実等により療養給付費が激増したのに対応し、保険財政の均衡維持のため適当な処置を講ずべきであったのに諸般の事情によりその処置が遅延したなどによるほか、事業の執行面においても次のとおり当局の努力が十分でなかったことによると認められる。
 保険料の徴収に関しては適用事業所に対する報酬月額の実態調査が不十分であるため保険料の徴収不足をきたしているものが少なくなく、29年度においても東京都ほか2県の54事業所で1,488,715円が徴収不足となっており、また、保険料の収納が適切に行われないため収納未済額が35億9千9百余万円(うち29年度分18億1千4百余万円)の多額に上り、そのうちには不納欠損となるおそれのあるものが前記のとおり11億1千7百余万円ある。