(1970)
秋田営林局で、昭和28年10月、国有林野整備臨時措置法(昭和26年法律第247号)により秋田県能代市(旧桧山町)に、同市所在の国有林32町6反および地上立木を随意契約により3,200,000円で売り渡しているが、立木の材積を過少に見積るなど評価が適正でなかったため著しく低価となっている。
右は、予定価格を土地32町6反143,228円、立木天然すぎ等3,000石および伐期令級未満の造林すぎ(15町1反分)3,048,386円計3,191,614円とし、前記価額で売り渡したものであるが、調査がずさんで伐期令級以上のものについてみても約690石を過少に見積り、その材積の相違による価額差だけでも約91万円が低額となっているなど価格の評定が適正でなく、現に、これを買い受けた旧檜山町は、同月天然すぎ等の立木の全量および伐期令級未満のすぎの一部を合わせ3,946石を秋田木材株式会社に9,000,000円で売り渡している状況である。
なお、本件調査にあたった能代営林署農林技官佐藤某は立木の調査等に関し旧檜山町から金銭の供与を受け、30年3月収賄罪により刑に処せられた。
(1971)
高知営林局で、昭和29年8月、国有林野整備臨時措置法(昭和26年法律第247号)により愛媛県北宇和郡来村所在の国有林88町4反を同村所有林119町4反と交換し、差金24,380,532円のうち6,380,532円を収納し、残額18,000,000円は延納を認めているが、この交換については所轄の営林署長が契約締結前に同村に本件国有林の立木処分を認めているばかりでなく、材積を過少に見積ったため約760万円が低額となっている。
右は、国有林を土地88町4反2,660,691円、立木ひのき等51,487石および伐期令級未満のひのき等15町7反47,387,911円計50,048,602円、村有林を土地119町4反3,905,435円、立木ひのき等4,053石および伐期令級未満のひのき等109町8反21,762,635円計25,668,070円と評定して交換したものであるが、右国有林を管理する宇和島営林署長は交換前に同村に本件国有林の立木処分を認めたので、同村は、28年9月、このうちすぎおよびひのき50,182石を42,000,000円で安宅産業株式会社に売り渡し、交換当時右代金のうち41,000,000円を既に受領していたものである。しかして、差金の徴収については、うち18,000,000円は5箇年間の延納を認めたが、右延納分の収納をほとんど期待することができない結果となっているばかりでなく、立木の評価にあたっても、材積を12,643石過少に見積ったため7,618,662円低額となっているものである。
このような事態をひき起したのは、同営林局における平素の監督と現況のは握に欠けるところがあったことによるものと認められ、その処置当を得ない。