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  • 昭和29年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第10 運輸省

(一般会計)


 (一般会計)

 昭和29年度歳出決算総額は259億1千9百余万円となっているが、本年度実施した検査においては、従来と同様国庫補助に重点を置き港湾の改修および災害復旧国庫負担工事ならびに各種補助事業についてこれを施行した。

 (公共事業に対する国庫補助の経理について)

 地方公共団体の施行した港湾工事の不当事項は前年度に比べ相当減少しているが、なお、国庫補助を除外すベき額1工事10万円以上のものだけでも52工事1千6百余万円あり、かつ、そのうちには事業主体が正当な自己負担をしていないものが多く、なかには国庫補助以下で工事を施行しているものさえ見受けられた。
 しかして、公共事業関係補助工事の不当事項については、工事完成後の検査ではその是正が困難な場合が多く、むしろ工事完成前に査定の内容を検査し早期に注意してその是正を促すことが効果的であると認め、29年発生災害について早期に検査を行なったところ、二重査定、災害便乗、設計過大となっているものが多数見受けられ、運輸省においては本院の注意により工事費において5千余万円を減額是正することとなった。

 (昭和28年度決算検査報告掲記事項の事後処理状況について)

 昭和28年度決算検査報告において、指摘した不当工事のうち、国庫補助を除外すべき額1工事20万円以上のものは98件であるが、このうち当局において国庫補助を返還または減額することとしたものは21件、この処理に代えて手直しまたは補強することとしたものは72件、一部を返還または減額し、一部を手直しまたは補強することとしたものは5件である。しかして、右のうち返還または減額することとしたもの26件のうち30年9月末現在14件が処理済となっている。また、手直しまたは補強することとしたもののうち、静岡県ほか13府県について、国庫補助を除外すべき額1工事20万円以上のもの53箇所につきその施行状況を30年2月から3月までの間に現地について検査したところ、工事が完成していたものは20箇所にすぎず、18箇所は工事中であり、また、残余の15箇所は未着工であって、そのうちには検査当時まだ着工の予定もないものがあった。工事中の18箇所のうちには、検査があることを知り急きょ着工したとみられるもの、使用資材を検収したにすぎないものあるいは出来高が20%にも満たないものが見受けられた状況である。しかして、右検査当時工事中または未着工となっていた33箇所のうち、30年9月末現在工事を完成した旨報告のあったものは29箇所となっている。

 (離島航路補助金の経理について)

 28、29両年度に根室汽船株式会社ほか22事業者に対し、根室羅臼線ほか32線の離島航路補助金として、28年12月から30年4月までの間に76,287,800円を交付しているが、右のうち13事業者21線分45,730,600円について本院で調査した結果、補助申請書の記載内容と帳簿の内容とが相違しているものが相当に見受けられ、仮に運輸省の定めている基準によって再計算すると、5事業者6線分に対する国庫補助金が約4200万円過大に交付されたこととなる。なお、事業者の関係帳簿および書類は十分に整備されていないものが見受けられるので、この整備について十分に指導するとともに従来の補助申請に対する机上査定に代えて事業者の帳簿について実地に調査したうえ、補助金額を決定することが望ましい。