郵政事業特別会計は、昭和29年度収益総額928億1千余万円(前年度827億3千9百余万円)に対し、損失総額921億3千1百余万円(前年度813億余万円)で、差引6億7千8百余万円の当期利益金(前年度14億3千8百余万円)を計上している。
本年度営業収入は925億9千1百余万円(前年度825億1千余万円)で、前年度に比べ100億8千余万円の増収となっているが、これは郵便業務収入のうち切手収入、後納及別納料収入等の増加および簡易生命保険及郵便年金特別会計、郵便貯金特別会計等他会計からの受入増加によるものであり、一方、業務費は911億3千1百余万円(前年度803億8千1百余万円)で、前年度に比べ107億4千9百余万円増加しているが、これは人件費が667億6千7百余万円(業務費に対する割合73.26%、前年度570億2千4百余万円、業務費に対する割合70.94%)で、前年度に比べ97億4千2百余万円増加していることなどによるものである。
当期利益金6億7千8百余万円は、既往年度からの繰越欠損金52億6千7百余万円があるので、この欠損金の減額に充てることとしている。
本特別会計で、本来28年度特別会計予算総則に定めた給与総額の限度内で支給すべき給与を29年度に繰り延べて支出した事態については昭和28年度決算検査報告に掲記したところであるが、29年度においても同期間分(30年1月1日から3月15日まで)の特殊勤務手当72,163,227円を同年度で支給する処置をとらないでいたものがあり、このほか、新たに30年3月上半期分超過勤務手当等73,671,722円の支払を30年度に繰り延べて支出し、予算総則第7条に定める給与総額の限度62,951,944,000円に対し、77,059,470円超過する事態がある。
29年度における貯蔵品の購入額は27億3千3百余万円、使用額は30億5千5百余万円であって、残額として翌年度へ繰り越されるものは7億3千2百余万円となり、前年度に比べ3億4千4百余万円が減少している。
右貯蔵品の残額は、本年度使用額の約2.8箇月分に当り、在庫量の規制につき考慮が払われていると認められるが、なお、貯蔵品のうちには戦時中の調達にかかる物品が使用見込もなく退蔵されているものなどがあり、また、物品の調達については、実情を十分に調査したうえ、適切な計画のもとに行うべきであるのに、これらの検討が不十分なまま調達されている傾向があり、その結果、不経済となっているものが見受けられる。