昭和29年度の損益の状況は、利益の部、保険料収入等251億3千7百余万円、損失の部、保険金等268億2千4百余万円で差引16億8千7百余万円の損失となり、28年度が5億2千余万円の損失であったのに比べ保険経済は悪化の傾向にある。
このような損失をきたしたおもな原因は、災害補償件数が28年度に比べ約10%増加しているなどのため保険金の支払高も22億1千余万円(約16%)の増加となっているのに対し、保険料収入では4億5千1百余万円(約3%)の増加にとどまったことによるものである。
労働省では、こうした経理状況にかんがみ従来の保険料率全般に検討を加え、とくに災害発生率の高い高えん提建設事業、水力発電建設事業等について30年度から大幅の料率引上げを実施して本特別会計の収支の改善をはかっている。
なお、本特別会計について注意を要する点をあげると、(ア)29年度の保険料等収納未済額は6億5千4百余万円あり、既往年度分を合わせると13億1千7百余万円の多額に達しており、(イ)保険料等の徴収決定さえしていないものがあり、(ウ)納付を怠った保険料について延滞金の徴収決定をしていないものが北海道労働基準局ほか6箇所で20,884事項25,580,785円に達しているから、これらに対しては適切な対策を講ずることが望ましい。