昭和29年度におけるたばこの製造数量は1413億1千4百余万本で、その販売数量は1032億2千2百余万本金額2091億4千3百余万円、塩の受入数量は国内産塩が45万3千余トン、輸入塩が194万4千余トン計239万7千余トンで、その販売数量は232万6千余トン金額187億2千3百余万円となっていて、前年度に比べると、販売数量ではたばこ53億9千3百万余本、塩14万9千余トンの増加となっているが、販売金額ではたばこ37億4千7百余万円、塩7億7千1百余万円が、いずれも減少している。また、粗製しょう脳等の生産は3,587トンで、販売数量は3,558トン金額8億8百余万円となっている。
同公社の29年度事業益金は、1305億4千9百余万円で前年度に比べて326億1千3百余万円を減少しているが、本年度から実施されたたばこ消費税272億1千1百余万円を加えると前年度事業益金に対する減少額は54億2百余万円となる。これを事業別にみると、たばこ事業において1293億5千4百余万円、塩事業において12億8千6百余万円の利益を生じたが、しょう脳事業において9千1百余万円の損失を生じている。
たばこ事業の益金は、前年度に比べて314億1千3百余万円を減少し、前記たばこ消費税を考慮すると42億2百余万円の減少となっているが、これは主として消費が上級品から下級品に移行したためである。
塩事業の益金は、前年度の24億2千2百余万円に比べて11億3千5百余万円の減少となるが、これは29年9月から塩の売渡価格を引き下げたことによるものである。
専売納付金として国庫に納付した額は、前記事業益金1305億4千9百余万円から、本年度中における固定資産および無形資産の増加額の合計額56億7千2百余万円を控除した1248億7千6百余万円であって、一般会計収納済額の10.5%を占めている。これを前年度に比べると343億4千5百余万円の減少となり、予定額に比べると2千4百余万円の増加となっている。
(1) 製塩施設法(昭和27年法律第228号)に基く補助工事について会計実地検査を実施した結果、実際の工事費が補助基本額に達していなかったり、工事の出来高が設計に比べて不足しているものなどが1工事10万円以上のものだけで10工事補助金相当額4,007,788円あったので注意したところ、いずれも補助金を返納させるなど是正の処置を講じた。
このような事態の発生は、事前の調査や工事施行中の監督が十分でなかったことなどによるもので一層の注意が望ましい。
(2) 同公社が塩元売人に売り渡した業務用塩のうち、しょう油等の製造用として売り渡すもののうちには同公社が製造業者に直接引き渡していて、塩元売人は名目上の買受人にすぎないのに、通常一般用塩におけると同様な売渡価格によっているものがあり、売渡方法等について改善の余地がある。