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  • 昭和29年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 工事

工事契約が当を得ないため工事費が高価となったと認められるもの


(2214)−(2215) 工事契約が当を得ないため工事費が高価となったと認められるもの

(工事勘定) (項)諸設備費
 工事の施行にあたり、その一部を分割して専門の製作業者に直接施行させる方が有利と認められる場合に包括的な工事契約を締結したため不経済となったものが次のとおりある。
(2214)  日本国有鉄道札幌鉄道管理局で、昭和29年11月、室蘭特別高圧配電室設備工事その14の施行にあたり、主体工事である配電盤の製作改造工事をその他の諸工事とあわせ総額8,950,000円で新生電業株式会社に請け負わせ施行したものがあるが、配電盤の製作改造工事をその他の諸工事と切り離して直接専門の電機業者に施行させたとすれば約120万円低額に施行することができたものと認められる。
 右は、予定価格を配電盤5面の製作改造費6,411,460円、その他諸工事費2,805,580円総額9,217,040円とし、指名競争契約により前記会社に請け負わせたものであるが、主体工事である配電盤の製作改造工事については29年9月、同鉄道管理局において株式会社明電舎北海道出張所からその見積を徴したところ、5,100,000円で施行する旨の申出があったのであるから、これをその他の諸工事と切り離して施行すればすえ付費等を考慮しても約120万円低額に施行することができたものと認められる。
 なお、新生電業株式会社は、右配電盤の製作改造工事を4,600,000円で前記明電舎北海道出張所に下請施行させている。 

(2215)  日本国有鉄道門司鉄道管理局で、昭和28、29両年度において、関門すい道排水設備改良工事の施行にあたり、主体工事であるポンプ工事を付帯工事とあわせ総額19,635,000円(うち28年度分4,160,000円)で日本電設工業株式会社に請け負わせ施行したものがあるが、ポンプ工事を付帯工事と切り離して直接専門のポンプ業者に施行させたとすれば約180万円低額に施行することができたものと認められる。
 右は、従来関門ずい道内に設置されていたタービンポンプが28年発生水害により水没したため、これをボアホールポンプに改良するもので、29年3月、試作品1台(50馬力)の予定価格をポンプおよびポンプすえ付費2,731,000円、その他付帯工事費1,440,700円総額4,171,700円として4,160,000円で、また、12月および30年2月、予定価格をポンプおよびポンプすえ付費1台当り平均2,231,600円とし5台分計11,154,000円、その他付帯工事費4,410,600円総額15,564,600円として15,475,000円で、いずれも日本電設工業株式会社に請け負わせ施行したものであるが、主体工事であるポンプ工事については、28年9月および29年10月、同鉄道管理局においてこの種ポンプの主要メーカーである荏原製作所九州、山口代理店とその製作およびすえ付工事について折衝した結果1台当り2,000,000円程度で施設することができる見通しを得ていたものであるから、これを切り離して施行すれば約180万円低額に施行することができたものと認められる。
 なお、日本電設工業株式会社は、右ポンプ工事を1台当り1,968,000円総額11,810,000円で前記荏原製作所九州、山口代理店に下請施行させている。