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  • 昭和29年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 不当事項|
  • 物件

予定価格の積算が当を得ないなどのためひいて購入価額が高価となったと認められるもの


(2216)−(2217) 予定価格の積算が当を得ないなどのためひいて購入価額が高価となったと認められるもの

 物品を購入する場合の予定価格の積算にあたって、市況のは握が十分でなかったり、他の地方資材部の購入状況等を調査検討する配意に欠けたりしているなどのため、予定価格が実情に沿わない過大なものとなり、ひいて購入価額が高価になったと認められるものが次のようにあるが、地方部局調達品についてはとくに相互連絡を密にし、経済購入に努める要があるものと認められる。

(クレオソート注入木柱を高価に購入したと認められるもの)

(2216)  日本国有鉄道関西地方資材部で、昭和29年度中に、公開競争契約により越井某ほか7名からクレオソート注入木柱6,107本を50,758,203円(予定価格51,935,369円)で購入しているが、予定価格の積算にあたり、算定上の基礎数値を誤り、また、一般市況、他部局の購入状況等を考慮しなかったため予定価格が過大となり、ひいて購入価額が約395万円高価となっているものと認められる。
 右は、予定価格の算定にあたり、素材木柱価格については、他の地方資材部と同様に昭和23年物価庁告示第1,015号に定める価格を基礎とし、これに木材価格および一般物価の変動等を勘案して決定した指数を乗じて算定しているが、右の物価庁告示価格を石当り価格に換算する際計算を誤り、これより4.8%から32.6%高い数値を採用し、また、一般市況や他の地方資材部の購入事例を全く考慮しなかったため予定価格が著しく過大となり、ひいてクレオソート注入木柱1本当りの価格についてみても、本件と同時期に他の地方資材部で購入したものに比べ左のとおり著しく高価となっている。 

寸法   四半期別価格
長さ 末口 地方資材部 第1・四半期 第2・四半期 第3・四半期 第4・四半期
メートル   センチメートル  
8 × 18 関西 5,149 4,990 4,900 4,600
関東 5,514 4,100 4,560 4,520
中部 4,900    4,455   
9 × 20 関西 7,600 7,370 6,990 6,550
関東 7,864 6,330 6,510   
中部     6,350 6,290
10 × 24 関西   13,690     12,320
関東   11,450   12,160
中部        

 11

× 24 関西 15,625 15,524 14,510 13,600
関東 14,340 13,200 13,500 13,190
中部 15,994   9,766  
12 × 24 関西 20,558 20,329 18,950 17,800
関東 16,260 17,330 17,530 17,040
中部     15,994  
13 × 24 関西 23,230 23,650 20,860 19,600
関東 18,821 17,200 19,290 19,000
中部     17,610  
14 × 24 関西 27,531   25,390 23,850
関東     23,480  
中部 ※25,300   21,370 ※21,770

 備考 関西地方資材部は最低価格を、その他の地方資材部は最高価格で掲げてある。なお、この価格は、安治川(関西)、隅田川(関東)、白鳥(中部)各用品庫納めのものである。ただし※は金沢納めのものである。
 いま、仮に関東地方資材部と同程度の価格で購入したとすれば約4680万円となり、本件購入価額はこれに比べ約395万円高価となる計算である。

(けい光放電管を高価に購入したと認められるもの) 

(2217)  日本国有鉄道関東、関西両地方資材部で、昭和29年度中に、公開競争契約または随意契約により株式会社斎藤商店ほか8名からけい光放電管合計46,803個を19,208,876円で購入しているが、予定価格の積算にあたり生産者の販売状況や他の地方資材部の購入状況等を考慮しなかったなどのため予定価格が過大となり、ひいて購入価額が約520万円高価となっているものと認められる。 
 右は、関東地方資材部では40ワット1個当り440円から490円、20ワット1個当り265円から290円で総額9,782,390円のものを、関西地方資材部では40ワット1個当り425円から471円、20ワット1個当り228円から258円で総額9,426,486円のものをいずれも予定価格と同程度で購入したものであるが、当時の主要生産業者の販売状況および中部その他の地方資材部で購入した同一品が1個当り40ワット314円から360円、20ワット160円から200円程度であったことからみて、関東、関西両地方資材部の購入は著しく高価に当るものと認められる。当時この種放電管は、主要生産業者の量産等により値下りの傾向が強く、生産業者も大口需要者に対しては直接販売を行うなどして販路の拡張に努めていた状況であり、その市場価格も浮動的であったのであるから、市場の動向、他の地方資材部の購入実績等を十分調査して購入すればより経済的に購入することができたものと認められる。
 いま、仮に中部地方資材部と同程度の価格で購入したとすれば、関東地方資材部においては6,893,000円、関西地方資材部においては7,101,000円となり、前記購入価額はこれに比べそれぞれ約288万円および約232万円が高価となる計算である。