日本開発銀行の昭和29年度中の新規貸付実行額は629億4千3百余万円で、主として基礎産業部門に重点を置いて融資されたもので、これを業種別にみると、左のとおり
業種 | 件数 | 貸付実行額 | 比率 |
電気業 |
件 72 |
百万円 39,038 |
% 62.0 |
海運業 | 41 | 16,311 | 25.9 |
鉱業 | 21 | 2,309 | 3.7 |
(石炭鉱業) | (19) | (2,209) | (3.5) |
繊維工業 | 15 | 1,703 | 2.7 |
化学工業 | 19 | 1,529 | 2.4 |
金属工業 |
13 | 1,000 | 1.6 |
(鉄鋼業) | (11) | (840) | (1.3) |
機械工業 | 22 | 678 | 1.1 |
農林水産業 | 3 | 225 | 0.4 |
その他 | 3 | 150 | 0.2 |
計 | 209 | 62,943 | 100.0 |
となっている。
貸付金債権の年度中回収額は、開発資金(日本開発銀行になってから貸し付けたもの)119億4千7百余万円、復金承継債権(復興金融金庫から承継したもの)64億9千8百余万円、見返承継債権(米国対日援助見返資金特別会計から承継したもの)22億4千1百余万円計206億8千7百余万円であり、また、年度末の貸付残高は開発資金1859億1千余万円、復金承継債権398億5千4百余万円、見返承継債権1388億3千2百余万円計3645億9千8百余万円であって、このうち滞貸となっているものは開発資金33億7千余万円、復金承継債権83億8千1百余万円、見返承継債権10億3百余万円計127億5千5百余万円となっており、前記年度末貸付残高に対し3.49%の割合となっている。なお、年度末において債権を償却したものは20件3千3百余万円である。
本年度においては122億9千8百余万円の利益をあげ、年度末貸付残高の1000分の7相当額25億5千2百余万円を法定準備金として積み立て、残額97億4千6百余万円を国庫に納付した(うち16億6千8百余万円は30年度に納付している。)。
電気業に融資したもののうち翌年度にわたる工事の融資については、融資査定額と工事代金の支払実績と異なるときは翌年度の融資において融資比率により調整することとしているが、年度内に主要工事が完成し運転を開始するものについては当該年度で融資を打ち切ることとし、その使用実績の調査を行わないこととしている。しかるに、本院でその実績を調査させたところ、工事費の節約により多額の不用額を生じているものが相当見受けられるので、一般の場合と同様翌年度において調整する要があると認められる。
なお、本院が別途日本郵船株式会社ほか52会社を検査した結果、外航船舶建造および改造工事資金として融資された見返承継債権のうち乗出費用について公募要領による融資基準をこえて融資された結果となっていると認められるものが、協立汽船株式会社協栄丸ほか12会社17隻について計29,747,940円になっていたので注意したが、30年10月末現在うち21,631,940円については繰上償還済である。