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  • 昭和29年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
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開発資金の貸付けにあたり処置当を得ないもの


(2246) 開発資金の貸付けにあたり処置当を得ないもの

 日本開発銀行福岡支店で、昭和29年9月、振興飛島鉱業株式会社に対し振興鉱業開発株式会社を連帯債務者とし振興飛島鉱業開発資金として25,000,000円を貸し付けているが、右両会社は多額の収益を計上しながら既往の貸付金に対し償還が著しく遅滞しているものであるのに、貸付けを実行し、延滞額をさらに増加させる結果となっているものがある。
 右は、振興飛島鉱業株式会社が現か行区域の炭量枯渇による下層開発に伴い必要とする選炭設備等に要する資金に対し、多分に既往貸付金回収の円滑化を考慮して貸し付けたものであるが、同銀行に提出した資料によると、両会社は償却前利益を左のとおり

27年度 28年度
振興飛島鉱業株式会社 千円
4,506
千円
3,850
振興鉱業開発〃 88,609 71,174

あげながら、これを主として経営拡張のために投下し、この間既往貸付金(復興金融金庫から承継したもので元高30,200,730円)の元利償還を本件貸付申込当時までほとんど行わず、また、連帯債務者である振興鉱業開発株式会社に対する既往貸付けについて担保の設定を長期間履行しなかったこともあるなど貸付条件の履行が著しく不良であったものであるのに、同銀行は29年3月本件貸付けの申込時ごろから既往貸付けの延滞利息等の一部入金があったので、今後も引続きその入金を期待し貸し付けたものである。しかして、貸付けの翌月からは振興飛島鉱業株式会社の既往貸付分について212,715円の入金があっただけであり、新規貸付金についても30年1月からは利息の一部として100,000円の入金があっただけで延滞となっており、連帯債務者である振興鉱業開発株式会社の既往貸付分については全然入金がない状況であり、貸付け当を得ないものである。