ページトップ
  • 昭和29年度|
  • 第3章 政府関係機関その他の団体の会計|
  • 第2節 各団体別の不当事項|
  • 第10 商工組合中央金庫|
  • 不当事項|
  • その他

融資にあたり処置当を得ないもの


(2247) 融資にあたり処置当を得ないもの

 商工組合中央金庫札幌支所で、昭和30年3月末において延滞となっている大口貸付金が次のとおり

北海道澱粉協同組合連合会 141,205,350円
北海道肝油工業協同組合 126,003,500円(ほかに償却額20,800,000円)

ある。
 右債権の過半は回収不能と認められるが、延滞となったおもな原因は、組合が財政の行詰りから融通手形の操作による資金の調達を企図し、商業手形として金庫に持ち込んだ融通手形をその成因等について十分検討することなく漫然と受け入れたこと、貸付後の管理が怠慢であったため目的外に使用されているのを長期間発見することができなかったことなどによるもので、とくに北海道澱粉協同組合連合会関係の日栄株式会社振出手形76,730,000円、北海道肝油工業協同組合関係のローヤル水産株式会社振出手形113,150,000円を割り引き不渡りとなったものがあるが、資本金1,000,000円の両会社の振出手形をこのように多額に割り引いていることなど金融機関としては考えられないところであって、本件は貸付けにあたり処置放漫に失したものと認められる。
 なお、同支所では一般に貸付けおよび管理が放漫であり、本院でも27年度において注意を促しておいたところであるが、延滞貸付金は29年8月には最高約10億円に上り、その後貸付金中整理期間を与えるときは回収の見込があると認めたもの約4億円を一応長期証書貸付けに切り替え、また、127,027,780円を償却したことなどにより右延滞貸付金は30年3月末には形式上656,521,570円まで減少したが、まだ延滞貸付金は貸付残高2,497,962,009円に対し26.2%に上っている。