昭和30年度における防衛庁関係の支出済歳出額は826億2千3百余万円で、228億5百余万円を翌年度に繰り越し、48億8千5百余万円を不用額としている。繰越額の多いのは、器材費関係で規格の決定および仕様書の作成に日数を要したこと、艦船建造費関係でその基本設計の研究等に日数を要したこと、また、施設整備費関係で土地の選定とその入手が遅延したことなどによるものである。
検査の結果、不当と認めた事項およびその発生原因についてみると、物資の調達においては、主として時期、数量、規格、価格等についての調査の不十分、各部隊等の実情、使用可能の時期、関係設備の整否についてのは握の不完全または各関係機関相互の連絡調整の不備のまま取り急いで実施に移すことにより発生するものと思料され、また、工事においては、その設計を十分検討しないまま実施に移したり、監督、検収が適切を欠いたことなどのためと認められるから、経費の効率的使用にさらに留意を要する。
なお、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定」に基いて米国から供与された器材と予算との調整は、必ずしも円滑に行われているとは認められず、供与されることが判明しているのにその交付を待たないで購入し、結局、供与品と重複することとなり、さしあたり使用することなく放置されている事例が見受けられるが、供与器材の品目、数量、時期について慎重な考慮を払うべきであり、実際供与されるものについての早期は握に力を尽し、国内調達との調整にさらに努力が望ましい。