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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第2 総理府|
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  • (一般会計)|
  • 不当事項

地上管制進入装置の購入にあたり処置当を得ないもの


(44) 地上管制進入装置の購入にあたり処置当を得ないもの

 (組織)防衛庁 (項)防衛庁

 防衛庁調達実施本部で、航空幕僚監部の要求により、昭和30年12月、随意契約によりギルフランブラザース社代理大倉商事株式会社からG・C・A(地上管制進入装置)1機を価額197,900,000円で購入しその全額(うち31年度分85,175,509円)を支出しているが、検収が適切に行われなかったなどのため31年11月にいたるも使用するにいたっていない。
 本件装置は、悪天候の場合等に航空機を安全に滑走路上に誘導着陸させるための装置であって、航空幕僚監部では将来の維持補修を考えて国内の会社に製作させることとしたが、この計画を変更して米国ギルフランブラザース社から前記会社を通じ購入したもので、現品は同年6月横浜に到着したが、その受領に際し検収官吏は単に米国空軍の合格証明書を確認しただけで現品については検査を行わず、約2箇月間浜松基地に放置していたが、右合格証明書が発行された当時本件装置は電源および通信関係器材が欠品で完成していないこと、したがって、総合試験は行われていないことが判明していた事情もあり、その処置当を得ない。現に、9月にいたって本院の注意により前記大倉商事株式会社とようやく別途に横浜、浜松間の輸送、組立調整の契約を締結し、点検したところ、本件装置の構成品である無線機7台が不良であり、予備品に相当数不足があること、また、レーダー部門は元来悪天候の際使用するものであのに雨天時に動作不良であることなどの事態が判明したものである。

 なお、本件G・C・Aはその調達要求前の30年2月に在日米軍事顧問団から同性能のG・C・A2機を供与する旨の文書の交付を受けていたのであり、このように取急ぎ購入する要があったものとは認められないもので、現に、31年4月および6月に2機が供与され、本件調達品と合わせ3機が浜松、築城2基地に未使用のまま保管中であり、さらに、31年3月初旬には在日米軍事顧問団から2機追加供与の通知を受けている状況である。