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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第4 大蔵省

(一般会計)


(一般会計)

(租税について)

 昭和30年度における国税収納金整理資金への受入金の徴収決定済額は8561億5千1百余万円、収納済額は8162億7千4百余万円であって、その収納割合95.3%は前年度の94.5%に比べやや好転しており、収納済額も前年度に比べ87億2千9百余万円増加している。収納未済額は265億8千9百余万円(既往年度分を加えると841億5千2百余万円)で、前年度に比べ97億4千3百余万円(既往年度分を加えたものにおいては199億4百余万円)の減少となっているが、不納欠損額は132億8千7百余万円で、前年度に比べ28億3千8百余万円増加している。なお、本資金から30年度一般会計歳入へ組み入れた額は7755億1千2百余万円、30年度交付税及び譲与税配付金特別会計歳入へ組み入れた額は221億8千3百余万円である。
 本年度の国税収納金整理資金に対する検査は主として所得税および法人税の賦課ならびに徴収上の処置等に重点を置いて実施したものであるが、課税資料の収集活用が不十分なため課税漏れを生じたり、不注意により法規の適用を誤って徴収過不足を生じたりしていたものが依然として見受けられ、徴税事務の一層適確な処理が望まれるところである。

(国有財産の管理および処分について)

 国有財産の管理および処分に関する検査は、旧軍用財産である機械器具の管理処分、未利用不動産の管理等に重点を置いて施行した。その結果は概要次のとおりである。

(1) 処分収入および利用収入

 全国10財務局の昭和30年度における国有財産の処分収入および利用収入の徴収決定済額は106億5千4百余万円、これに対する収納未済歳入額は8億4千1百余万円で徴収決定済額の7%余に当り、前年度の12%余に比べて低率となったが、既往年度分の収納未済歳入額5億7千1百余万円を加えると収納未済歳入額は14億1千3百余万円に達する状況で、そのおもなものは国有財産の使用料5億6千1百余万円、土地および建物の売渡代金2億8千8百余万円、船舶の売渡代金1億2千7百余万円である。このように収納未済歳入額の多いのは、債務者の資力不足がおもな原因と認められるが、使用料については徴収決定の処置が遅延したこともその一因と認められる。

 右のほか、30年度末までに徴収決定すべき使用料で、徴収処置を講じていなかったものが約5億5500万円(うち30年度分約2億2000万円)に上っているが、そのうち約4億100万円(うち30年度分約1億1700万円)は物納財産の使用料で売渡の際一括徴収する方針をとっていたなどのため徴収決定未済となっているものである。

(2) 国有財産台帳の整備

 財産管理の基本となる国有財産台帳の整備については、連年その促進方につき当局に対し注意を喚起したところであり、本年度においてもその整備状況について調査したところ、売り渡した財産が依然として台帳に記載されているもの、建物、機械器具等で盗難、亡失等によって現物がないのに台帳にそのまま記載されているもの、財産が二重に記載されているもの、機械器具等が現存するのに台帳に記載されていないものなどがあって、その整備がまだ不十分であるのは遺憾である。これらは現場、現況をは握していないことおよび台帳事務を掌る課と財産を直接管理処分する課との間または財務局、財務部、出張所間の事務連絡が不十分であることによるとみられるが、これについては一段の努力を要する。

(3) 普通財産の管理

 全国10財務局で管理している普通財産のうち旧軍用財産および旧雑種財産については、使用料の徴収処置をとっていないもの、財産の現況をは握していないものなど依然として管理不十分と認められるものが多数あり、なお、一段の努力が望ましい。
 旧軍用財産の30年度末現在額は土地179,735,552坪、建物延4,866,535坪、機械器具1,385,632個等となっているが、正規の貸付手続をとらないで使用させているもの、使用料の徴収決定を長期にわたり遅延しているもの、一定の用途を指定して売り渡しながらその用途に供されずまたは転売されているのに適宜な処置を講じていないものなどがあるほか、とくに機械器具等については調査不十分なため貸付中の機械を無断で処分されたもの、物件が所在不明となっているのに長期にわたってそのまま放置しているものなどが多数ある状況である。

 旧雑種財産の30年度末現在額は土地90,169,839坪、建物延151,157坪等となっており、うち土地82,887,854坪、建物延50,117坪等は未利用として整理されているが、現地の調査をしないで放置しているもの、長期にわたり使用料徴収の手続を講ぜず使用されているもの、物件の所在不明のままとなっているものなどが多数ある状況である。
 船舶共有持分は、30年度末190隻分91億1千5百余万円で、30年度中に徴収決定した持分の償却額および金利の額は12億2千5百余万円であって、海運市況好転を反映し、前年度の5億1千4百余万円に比べると7億1千1百余円の増加となり、また、収納未済歳入額累計も1億4千余万円で、前年度の5億3千1百余万円に比べ著しく減少した。本年度においても共有船舶収支決算の審査に重点を置き検査を施行したところ、総益金を誤って決定したものなどがあったが、総じて改善の跡が認められた。

(4) 国有財産に関しとくに整理促進を要するものについて

 日本国有鉄道が連合国軍の要求に基き終戦処理費支弁により建設、改造等を行なった連合国軍専用財産のうち、施設関係の建物、線路その他約12億円(日本国有鉄道の調査による26年4月30日現在の評価額)は、その大部分が26年から28年までの間に返還されており、そのうちには国有財産も少なくないと認められるのにその引継を受けて国有財産台帳に記載することなく日本国有鉄道の管理に任せており、また、防衛庁で使用している普通財産は土地10,401,357坪、建物延399,044坪等に達しているが、これらは25年8月以降逐次使用しているものであるからすみやかに同庁へ所管換すべきであるのに、その手続を了したものは1割程度にすぎず、残余は未整理のまま現在にいたっているが、いずれも正規の手続を講ずベきものである。