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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第6 厚生省

(船員保険特別会計)


(船員保険特別会計)

 昭和30年度損益の状況は、保険料収入等利益43億3千3百余万円、保険給付費等損失33億1千7百余万円で、差引10億1千6百余万円の利益(土地建物評価差益7千1百余万円を除く。)となっている。
 しかしながら、本特別会計は、健康、年金、労働者災害補償、失業の各社会保険を総合してこれを一括経理し、各保険に相当した勘定区分を付していないが、損益計算上明らかな健康および労働者災害補償保険部門の給付と保険料に積算された当該部門の保険料率から計算した保険料収入とを比較すると2億1千3百余万円の損失となる。

 このように健康および労働者災害補償保険部門が欠損となっているおもな原因は、受診率の上昇等保険給付費の増大にもよるが、厚生省において保険料算定の基礎となる標準報酬月額の算定方法につき具体的方針を明示しなかったこともあって、地方行政庁においては、漁船船員の標準報酬を単に船主団体との協議により実際より低く決定している実情であり、また、汽船船員についても報酬の範囲についての取扱が実際に即しない傾向があり、保険料の徴収不足をきたしていることによる。
 また、保険料の収納率は90.7%(既往年度分を含み86.3%)で、他の社会保険に比べ著しく低率であり、未収金5億9千8百余万円のうちの既往年度分2億3千4百余万円には不納欠損のおそれがあるもの1億2千8百余万円を含んでいる。
 なお、前記のように保険料の徴収不足および収納率不良のため健康および労働者災害補償保険部門において資金の不足をきたし、年金部門の積立金とすべき1億7千7百余万円をこれに充当している状況である。