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  • 昭和30年度|
  • 第2章 国の会計|
  • 第5節 各所管別の不当事項および是正事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 不当事項|
  • 補助金

公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの


(1003)−(1525)公共事業に対する国庫補助金等の経理当を得ないもの

 (組織)農林本省(項)農業施設災害復旧事業費 ほか7科目
 (組織)林野庁(項)山林施設災害復旧事業費 ほか3科目
 (組織)水産庁(項)漁港施設災害復旧事業費 ほか2科目

 地方公共団体および農業協同組合等が施行した土地改良、地盤変動対策、林道開設、漁港修築および災害復旧等の工事に対する国庫補助金または国庫負担金(以下「国庫補助金」という。)は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等の根拠法規に基いて各事業主体に交付されるものであるが、本院において、昭和31年中、その経理および工事施行の状況について、全国の工事現場52,113箇所のうち青森県ほか35都府県につきその8%に相当する4,200箇所を実地に検査したところ、関係当局の指導監督の強化および事業主体の自覚等により、漸次改善の跡が認められ、都府県のしゅん功検査の結果2万余の工事について約8億円相当の手直しおよび減額等の処置を講じている状況で、不当事項は前年度に比べ相当減少したが、なお、設計に対し工事の出来高が不足しているもの、設計が過大なもの、工事の施行が粗漏で補助の目的を達していないもの、災害復旧とは認められない改良工事を施行しているものなどがあり、国庫補助金を除外すべきことの判明したものが、青森県ほか35都府県において、除外すべき額1工事10万円以上のものをあげると1,032工事331,837,171円あり、これを事項別に分類して示すと次表(折込)のとおりである。

類別
都道府県名
改良その他国庫負担の対象としてはならない工事 工事の施工が粗漏で目的を達していないもの 工事の出来高が不足しているもの 工事の設計が過大なもの 事業主体が正当な自己負担をしていないもの 合計
類別
都道府県名
工事の施工が粗漏で目的を達していないもの 工事の出来高が不足しているもの 工事の設計が過大なもの その他
工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額 工事数 金額

青森県

千円
千円
5
千円
576

千円
千円
15
千円
4,170

7
千円
1,397

1
千円
660

23
千円
6,228

28
千円
6,804

青森県
岩手〃

2 299 2 324

2 405 3 952

3 807 8 2,166 12 2,789 岩手〃
宮城〃



3 556

8 3,600 17 3,505 2 342 2 385 29 7,833 32 8,389 宮城〃
秋田〃 1 1,476 2 1,058 8 1,564

3 1,807 23 5,558 6 1,355 3 380 35 9,100 46 13,200 秋田〃
山形〃



5 844 1 177 1 236 37 6,736 4 731 2 471 44 8,176 50 9,197 山形〃
福島〃

1 299 7 902



15 3,353 6 2,610 2 969 23 6,933 31 8,135 福島〃
群馬〃 1 552

1 117



3 870

1 248 4 1,119 6 1,788 群馬〃
埼玉〃



1 105



2 345 7 1,982 4 1,783 13 4,111 14 4,216 埼玉〃
千葉〃

1 390 2 349



3 1,862 4 1,350 3 2,126 10 5,339 13 6,079 千葉〃
東京都



2 345





1 146 1 129 2 275 4 621 東京都
新潟県



4 688 1 107 1 1,282 14 4,707 12 2,069 2 1,068 29 9,127 34 9,923 新潟県
富山〃

1 249 1 118



4 1,360

2 223 6 1,584 8 1,951 富山〃
石川〃

1 325 2 333



17 3,175 5 1,561 4 1,005 26 5,742 29 6,401 石川〃
福井〃

1 610 5 1,846 2 400 3 1,754 6 899 7 2,146 1 2,031 17 6,831 25 9,688 福井〃
長野〃



4 1,946

1 575 1 319 2 291 1 351 5 1,537 9 3,483 長野〃
岐阜〃 1 1,651

1 105 2 523

12 2,381 3 659 2 1,302 17 4,342 21 6,622 岐阜〃
愛知〃 1 358

3 977



21 8,533 9 4,684 12 4,960 42 18,179 46 19,514 愛知〃
三重〃 1 828

5 1,321

2 949 21 6,410 27 6,223 22 6,638 72 20,221 78 22,371 三重〃
滋賀〃



4 997



5 1,262 6 8,410 10 2,939 21 12,612 25 13,609 滋賀〃
京都府

1 361 6 1,170

2 2,807 16 7,018 7 5,267 9 4,689 34 19,782 41 21,314 京都府
大阪〃

1 180 8 1,393

2 1,594 17 3,454 3 555 5 1,113 27 6,718 36 8,291 大阪〃
兵庫県 1 2,903

5 1,196



9 2,852 7 1,233 1 299 17 4,385 23 8,485 兵庫県
奈良〃 3 1,023 1 641 8 1,393



13 2,132 5 1,830 2 335 20 4,297 32 7,355 奈良〃
和歌山〃

1 988 9 3,628 1 258

31 10,568 21 5,843 6 2,891 58 19,304 69 24,179 和歌山〃
鳥取〃



5 1,096



16 6,461 5 2,235 4 1,518 25 10,214 30 11,311 鳥取〃
島根〃



1 248 1 528 2 1,206 28 7,306 17 4,574 2 690 49 13,779 51 14,555 島根〃
岡山〃

1 306 2 481





2 403

2 403 5 1,190 岡山〃
山口〃



6 861 1 368

9 3,315 4 1,125 3 517 16 4,957 23 6,187 山口〃
徳島〃

1 108 1 377 1 209

3 410 5 1,583

8 1,994 11 2,690 徳島〃
香川〃



1 105



11 2,102 1 104 1 218 13 2,424 14 2,529 香川〃
福岡〃



11 2,315

2 1,323 8 1,672 13 17,780 7 3,238 30 24,014 41 26,329 福岡〃
長崎〃



7 1,270 1 4,581 2 1,523 11 2,285 7 2,950 1 112 21 6,871 29 12,723 長崎〃
熊本〃

2 985 10 2,066

3 1,755 8 2,390 2 434 1 163 14 4,744 26 7,796 熊本〃
大分〃

1 367 10 1,938

3 1,904 12 2,479 1 368

16 4,751 27 7,056 大分〃
宮崎〃



1 100

6 2,500 20 3,486 6 1,737 3 340 35 8,065 36 8,165 宮崎〃
鹿児島〃

1 345 6 814

1 416 11 2,998 4 923 4 1,383 20 5,721 27 6,882 鹿児島〃
合計 9 8,791 19 7,517 162 34,480 11 7,154 44 25,643 442 117,340 218 84,913 127 45,996 831 273,893 1,032 331,837 合計

 しかして、従来検査報告において指摘したと同様正当な自己負担をしていないものが、右1,032工事のうち80.6%に相当する831工事273,893,219円あり、そのうちには国庫補助金相当額を下回る金額で工事を施行し国庫補助金に剰余を生じたこととなっているものも見受けられる状況である。
 検査の結果明らかとなった不当事項のうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のもの523件259,815,393円を農業施設、山林施設および漁港施設に分類してあげると別表第5のとおりであるが、このように多数発見される不当工事の発生原因は既に毎年度の検査報告に掲記したとおりで、そのおもな原因は監督、検収の不十分と事業主体の負担回避とにあるものと認められるからその防止について一層の努力の要がある。なお、本院においては事後検査にあわせて28、29および30年発生災害に対し従来と同様早期検査を行なったところ、二重査定、災害便乗、設計過大等の事態となっているものが多数発見され、農林省において本院の注意により是正したものが別項記載(参照) のとおり工事費において6億円をこえる状況である。

(1) 農業施設

(1003)−(1466) 農業施設について地方公共団体、農業協同組合および土地改良区等が施行する土地改良、地盤変動対策、災害復旧工事等に対する本院の実地検査は、全国都道府県の工事現場44,121箇所のうち青森県ほか35都府県の7.7%に相当する3,426箇所その工事費10,011,150,380円(国庫補助金6,212,100,936円)について実施したが、その結果は、前年度同様水路、堤とう、農道等の石垣工事における面積、胴込量、裏込量が設計に比べ不足していたり、頭首工工事におけるコンクリートの配合比もしくは打設量または農地復旧工事における排土量、客土量もしくはその運搬距離が設計と相違していたり、あるいは石材、コンクリート用骨材の採取場所が設計に比べて近距離となっているものがあったほか、工事の手抜きが大きく完成後間もないのに崩壊していて補助の目的を達していないものなどがあったため、国庫補助金を除外すべき額1工事10万円以上のものが検査済工事数の27.2%に相当する933箇所に上りその額294,188,796円に達した。しかも、そのうちには、事業主体において工事費の経理に関し事実に合致しない書類を作成して正当な自己負担を免かれていることの判明したものが、右のうち83.8%に相当する782箇所252,162,746円の多額に上っており、ことに、補助率が高率であった28年発生災害復旧についても1,159箇所を検査したところ、なお正当な自己負担をしないで工事を施行していたものが23.2%に相当する269箇所113,948,867円になっている状況である。
 いま、農業施設関係の不当工事のうち国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第5(1)のとおり464件228,153,657円になっており、その代表的な事例は次のとおりである
(各項末尾の( )内の数字は別表第5(1)に掲記した番号を示す。)

(1)  群馬県邑楽郡板倉町(旧海老瀬村)邑楽土地改良区が850,000円(国庫補助金552,400円)で施行した丸谷橋梁29年災害復旧は、29年9月の災害により被災した橋りょう20メートルを復旧したこととしているものであるが、実際は老朽していた木橋を災害に名をかり鉄筋コンクリート橋に架け換えたものである。(改良工事その他補助の対象としてはならないもの)(1078)

(2)  新潟県中魚沼郡津南町(旧外丸村)外丸村南部土地改良区が6,800,000円(国庫補助金2,720,000円)で施行した樽田溜池土地改良は、ため池1箇所を新設するものであるが、堤とうのはがね土のつき固めが著しく不良なため漏水している状況である。なお、工事は6,283,000円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている4,080,000円のうち517,000円を負担していない。(粗漏工事、事業主体負担不足)(1100)

(3)  愛知県西尾市(旧平坂町)平坂土地改良区が5,625,000円(国庫補助金5,062,500円)で施行した奥田水路28年災害復旧は、水路600メートルを三面張コンクリートで復旧するものであるが、敷ぐり石を設計の4分の1、底張コンクリートを2分の1程度で施行したにすぎないため工事費は国庫補助金を下回る3,450,000円にすぎず、事業主体はその負担したとしている562,500円を全く負担していないばかりでなく1,612,500円の剰余を生ずることとなっている。
 また、同土地改良区が工事費5,600,000円(国庫補助金5,040,000円)で施行した東奥田堤塘28年災害復旧においても石積の築石の控が不足しているなどのため工事費は国庫補助金を下回る4,450,000円で施行されている。(出来高不足、事業主体負担不足)(1162、1163)

(4)  京都府綴喜郡田原村が10,360,000円(国庫補助金9,324,000円)で施行した平の谷溜池28年災害復旧は、堤とう33メートルを復旧するもので、余水吐70メートルの三面張コンクリートは底厚50センチメートルで配合比1:3:6のコンクリート463立米を施行したこととしているが、実際は岩くずを使用した粗悪なコンクリートで底厚20センチメートル程度のものを施行したにすぎないため工事は国庫補助金を下回る8,450,000円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている1,036,000円を全く負担していないばかりでなく874,000円の剰余を生ずることとなっている。(出来高不足、事業主体負体不足)(1250)

(5)  大阪府富田林市大伴農業協同組合が3,620,000円(国庫補助金3,258,000円)で施行した北大伴梶頭首工28年災害復旧は、井ぜき47メートルを復旧するもので、えん体は玉石コンクリート295立米で施行したこととしているが、実際は玉石205立米を中詰とし、これを配合の粗悪なコンクリートで厚さ10センチメートル程度被覆したにすぎず、工事の施行が著しく粗漏で災害復旧の目的を達していない。なお、工事は国庫補助金相当額3,258,000円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている362,000円を全く負担していない。
 右のほか、同組合および喜志、彼方両農業協同組合が施行した水路、井ぜき、ため池等の28、29年災害復旧7工事13,283,000円(国庫補助金11,789,700円)においても正当な自己負担をせず国庫補助金相当額11,789,700円で施行し、工事の出来高が不足していたなどのため減額を要する国庫補助金が総額1,580,450円に上っている。
 なお、同市においては、従来正当な自己負担をしないで工事を施行していたため、とくに厳重注意したところであるが、その後施行した工事においても依然として右のような事態を繰り返している。(粗漏工事、出来高不足、設計過大、事業主体負担不足)(1255−1257)

(6)  兵庫県高砂市(旧荒井村、伊保村)が22,835,000円(国庫補助金11,417,500円)で施行した地盤変動対策事業は、農地131町7反の塩害を防止するため、潮止堤とう287メートル、ひ門1箇所および排水路469メートルを施行したものであるが、右工事のうち、排水路工事費5,806,000円(国庫補助金2,903,000円)は別途に同市が廃川廃堤敷地を市庁舎等の建設用地として埋め立てたため必要となったもので農地の地盤変動対策事業としては認められない。(改良工事その他補助の対象としてはならないもの)(1266)

(7)  和歌山県有田郡岩倉村が2,112,000円(国庫補助金1,900,800円)で施行した九鬼の登溜池28年災害復旧は、土砂留えん堤28メートル等を施行するもので、えん体はぐり石313立米を中詰とし、これを玉石コンクリート上幅30センチメートル、下幅1メートルで被覆し、また、水たたきは厚さ70センチメートルで施行したこととしているが、実際は粗悪なコンクリートでえん体は上幅30センチメートル、下幅20センチメートル、水たたきは厚さ15センチメートル程度で施行したにすぎず、既に水たたきの一部が崩壊している状況で工事の施行が著しく粗漏となっている。(粗漏工事)(1289)

(8)  福岡県三井郡大橋村が52,235,000円(国庫補助金47,011,500円)で施行した大橋農地28年災害復旧は、農地141町7反を復旧するもので、排土165,853立米を施行したこととしているが、実際は124,185立米を施行しただけで足り、工事は国庫補助金を下回る39,933,000円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている5,223,500円を全く負担していないばかりでなく7,078,500円の剰余を生ずることとなっている。(設計過大、事業主体負担不足)(1395)

(2) 山林施設

(1467)−(1503) 山林施設について、地方公共団体および森林組合が施行する林道の開設および災害復旧ならびに崩壊地復旧の治山工事に対する本院の実地検査は、全国都道府県の工事現場6,208箇所のうち8.8%に相当する550箇所その工事費1,614,329,209円(国庫補助金921,025,531円)について実施したが、その結果は、林道工事において、硬岩、軟岩、土砂の切盛土量、石垣の面積、胴込量、裏込量が設計に比べて不足していたり、岩石等の切盛土量を必要以上に過大に見込んでいたり、治山のえん堤工事においてコンクリートの配合比またはその打設量が設計と相違しているなどのため、国庫補助金を除外すべき額1工事10万円以上のものが検査済工事数の12.5%に相当する69箇所に上り、その額22,673,114円に達した。しかも、事業主体において工事費の経理に関し事実に合致しない書類を作成して正当な自己負担を免かれていることの判明したものが、右のうち55%に相当する38箇所15,635,605円になっている状況である。
 いま、山林施設関係の不当工事のうち、国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第5(2)のとおり37件17,803,285円になっており、その代表的な事例は次のとおりである(各項末尾の( )内の数字は別表第5(2)に掲記した番号を示す。)。

(1)  京都府北桑田郡弓削村弓削森林組合が41,564,000円(国庫補助金22,540,400円)で施行した奥地開発林道八丁線開設は、林道3,180メートルを新設するもので、硬岩切取34,582立米を施行したこととしているが、実際はうち9,844立米は軟岩であったため工事は36,924,510円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている14,867,200円のうち4,639,490円を負担していない。(設計過大、事業主体負担不足)(1479)

(2)  鳥取県岩美郡岩美町が9,582,000円(国庫補助金5,221,000円)で施行した奥地開発林道鳥越線開設は、林道3,212メートルを新設するもので、練積石垣2,452平米は胴込コンクリート平米当り0.1立米程度総量269立米を施行したこととしているが、実際は目地ぬりで施行したにすぎないため工事は8,091,651円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている3,402,800円のうち1,490,349円を負担していない。(出来高不足、事業主体負担不足)(1490)

(3)  島根県邑智郡桜江町(旧桜江村)が2,770,000円(国庫補助金831,000円)で施行した一般林道鹿賀谷線開設は、林道968メートルを新設するもので、硬岩切取1,942立米を施行したこととしているが、実際は1,527立米を施行すれば足り、また、路側および橋台石垣793平米の築石は700メートル運搬したこととしているが、実際は現場付近で採取することができたため工事は1,695,000円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている1,385,000円のうち1,075,000円を負担していない。(設計過大、事業主体負担不足)(1495)

(3) 漁港施設

(1504)−(1525)  漁港施設について、地方公共団体および漁業協同組合が施行する災害復旧、漁港修築工事等に対する本院の実地検査は、北海道ほか38都府県の工事現場1,784箇所のうち12%に相当する224箇所その工事費745,311,051円(国庫補助金490,097,897円)について実施したが、その結果は、防波堤の張石、中詰石、捨石の規格もしくは施行量または船揚場もしくは護岸のコンクリート打設量がそれぞれ設計に比べて不足していたり、在石の使用量を過少に見込んでいたり、石積の面積、石材の単価を過大に見積っていたり、またはその施行が粗漏で補助の目的を達していないものなどがあったため、国庫補助金を除外すべき額1工事10万円以上のものが検査済工事数の13.3%に相当する30箇所に上り、その額14,975,261円に達した。しかも、事業主体において工事費の経理に関し事実に合致しない書類を作成して正当な自己負担を免かれていることの判明したものが、右のうち36.6%に相当する2箇所6,094,868円になっている。
 いま、漁港施設関係の不当工事のうち、国庫補助金を除外すべき額1工事20万円以上のものをあげると別表第5(3)のとおり22件13,858,451円になっており、その代表的な事例は次のとおりである(各項末尾の( )内の数字は別表第5(3)に掲記した番号を示す。)。

(1)  千葉県安房郡和田町真浦南三原漁業協同組合が3,820,000円(国庫補助金2,483,000円)で施行した真浦漁港26年災害復旧は、防波堤65メートルを復旧するもので、堤体はぐり石コンクリート840立米で施行したこととしているが、実際はうち574立米はぐり石419立米を中詰とし、これをコンクリートで厚さ20センチメートル程度被覆したにすぎないため工事は2,898,000円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている1,146,000円のうち922,000円を負担していない。(出来高不足、事業一体負担不足)(1507)

(2)  長崎県北松浦郡生月町が3,462,000円(国庫負担金2,308,800円)で施行した御崎漁港26年災害復旧は、防波堤75メートルを復旧するもので、うち40メートルの堤体の張石は520平米を施行したこととしているが、実除は353平米を施行すれば足り、また、中詰ぐり石1,683立米のうち半量は新石を使用したこととしているが、実際は全量を在石で施行することができたため工事費は国庫負担金を下回る1,256,000円で施行されていて、事業主体はその負担したとしている1,153,000円を全く負担していないばかりでなく、1,052,800円の剰余を生ずることとなっている。(設計過大、事業主体負担不足)(1521)